宇都宮徹壱ウェブマガジン

「中国代表監督? それはないでしょう(笑)」(岡田武史=通巻100号より) バックナンバーで綴る「徹マガ・記憶に残るインタビュー」<前篇>

 6月に入り、今月いっぱいで終了となる『徹マガ』。そこで今回は、バックナンバーで綴る「徹マガ・記憶に残るインタビュー」と題し、2010年5月の創刊から2016年に至る膨大なコンテンツの中から、読者の皆さんの反響が大きかったものや徹マガのターニングポイントとなったものを選りすぐり、再編集したものを前後でお届けする。

 今回の企画を進めるにあたり、先月から粛々とバックナンバーのリストを作成していた。当初は「1週間くらいで終わるかな」とたかをくくっていたのだが、自分でも驚くくらいの量があり、なおかつ内容を確認するたびに当時の思い出が蘇ってきて、なかなか作業が進まない。『宇都宮徹壱WM』準備室のスタッフであり、徹マガ創刊号からの読者でもあった森衿子さんにも協力していただき、まる1カ月をかけてようやく完成と相成った。

 このリストをもとに、7月からスタートするWMでは通巻20号から194号までのバックナンバーすべてが、段階的にアーカイブ化される。そしてWM会員になると、徹マガの過去のバックナンバーが自由に閲覧できる予定だ。メルマガ終了後、新たにWMの会員となるかどうか悩んでいる方には、少しばかり魅力的な話ではないだろうか。この機会にぜひ、こちらをご覧いただいた上で、ご検討いただければ幸いである。

■フモフモコラム編集長

 通巻47号 今こそ、スポーツと笑いを!(2011年3月31配信)

 最初に紹介するのは、『スポーツ見るもの語る者~フモフモコラム』でお馴染みのフモフモコラム編集長である。このインタビューは、それまで謎の存在であったフモフモさんの(おそらく)初めてのロングインタビューであること、この配信を契機に会員が一気に増加したこと(企画した徹マガ前編集長のお手柄である)、そして東日本大震災の直後にあえて配信したという点でも思い出深い。震災に関するシリアスな言及もあるのだが、ここではフモフモさんが偏愛して止まないアスリートについて語った部分を抜粋する。なお、最後の清原和博に関する言及は、5年後に読み返してみると何とも暗示的である。

――普段のお仕事が忙しい中で、ネタ探しから始まって、妄想して、原稿を書いて、アップするまで、かなりの時間とエネルギーを要すると思うのですが、どうやって捻出しているんでしょうか?

フモフモ (家に帰れば)ひとりなので、特にすることもないし、ぼーっとテレビを見ながら、パソコンでカタカタとネットサーフィンしている感じですね。情報源とかも、そんなにないです。普段、見ているのはスポーツ新聞のサイトと、世界のYahoo!、あとはYouTubeを見て、各局テレビのニュースをはしごして、その程度ですね。バラエティに関しては、朝出勤する前に番組表を見て、誰かが出演するときには録画予約をして、帰宅してから見ています。

――ワールドカップとか五輪とか、毎日やっているイベントは大変じゃないですか?

フモフモ 大変ですね。でも義務感でやっているわけではないので。以前は完全な夜型で、明け方6時くらいまで起きていて、そこから昼まで寝ていました。社会人になっても、比較的時間に融通が利く仕事だったので、そういう生活をしていたんです。でも09年のWBC(ワールド・ベースボール・クラッシック)は、朝の5時からキューバ戦があって、これは厳しいなと。寝ないで見ることはできても、そのあとの感想は書けそうにない。だから12時に寝て4時に起きようと。

 で、次の年はバンクーバー五輪があって、これもきつかった。日本時間の午前2時から夜の間ずっとやるわけですよ。これは本格的に寝られないなということで、できるだけ早く寝て、できるだけ早く起きる生活をしているうちに朝型になりました(笑)。逆に、ワールドカップ(南アフリカ大会)は楽でしたね。3時くらいまで起きていて、それで寝ればいいという感じでしたから。ただ、睡眠時間が足りないと、すぐに頭が痛くなってしまうんですよ。だからしっかり睡眠はとるようにしています。

――なるほど。ところでフモフモさんは、特定の人物やチームを定点観測しますよね。福原愛、吉田沙保里、大林素子、中田英寿。彼らに共通しているのは何でしょうか?

フモフモ うーん。不器用なところ、ですかね。生き方が。真面目、愚直、上手に立ち回れない、そんな言い方のほうが似合うかもしれない。自分の競技では素晴らしい仕事をしているのに、人間の部分で誤解されて損をしているとか、世俗的な幸せをつかめないでいるところとか。僕自身、お金とか、異性にもてるとか、ステータスとか、あまり縁のない人間なので、そういう不器用な人を見ていると愛おしくなってしまうんです(笑)。

 中田さんなんかも、世間的には器用と思われているかもしれないけど、僕にはものすごく不器用に見えてしまうんです。もっと上手に穏便にやれば、アンチを作らずにスーパースターのままでいられたと思うんです。石川遼くんとか、すごく器用じゃないですか。あと佑ちゃん(齋藤佑樹)も。そういう人たちは「ああ、すごいなあ」と特に感想を抱くこともないんですけど、不器用な人を見ると「惜しいな」とか「もっとこうだったら、この人は幸せだったんだろうな」とか「きっと本当はこうしたかったんだろうな」とか、どんどん勝手に想像してしまうんです(笑)。

――亀田3兄弟についてもそうなんですか?

フモフモ そうですね。すごく頑張っているのに、ぜんぜん評価されないじゃないですか。もちろん評価されないだけの、いろんな背景や事情はあったと思いますが。僕は特に、次男の大毅くんが大好きで。

――え? 一番ネタにしているじゃないですか(笑)。

フモフモ いやいや、すごく好きですよ。真面目でいい子だし、結果も出していると思うんですけど、ぜんぜん世間から大事にされないじゃないですか。やっぱり、試合の後に歌を歌ってくれるなんて、なかなかできることじゃないですよ(笑)。

――大好きといえば、卓球の愛ちゃんについて聞かないわけにはいきません(笑)。

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