宇都宮徹壱ウェブマガジン

篠原美也子の月イチ雑食観戦記 第三十二回「先生、顧問やめるってよ」

■「うたかたロケンローラー」もちゅうにになって

 私「お前、このニューバランスかっちょいいからもっと履けよ!」

 息子「ダメだよ! それ底が薄くてすげー走りづらいんだよ!」

 そうかあ、と、ただ「きれい」というだけで靴を選ぶ母はため息をつく。もっとも、私が好きなのはかかとのあるもの(しかも折れそうなピンヒールとか、シンデレラしか履けないような華奢なパンプスとか)なので、スニーカーには興味ないのだが、息子の靴を探しに行って、時々きれいなスニーカーに出会うようになって、運動靴侮り難し、と最近はちょっと反省したりしている。

 思えばトレシューだスパイクだ、ナイキだアディダスだプーマだアシックスだミズノだ、本田モデルだ香川モデルだクリロナだメッシだ、と、さんざん買った。なんつったってサイズアウトしてしまうのでしゃーない。男の子だし、足が大きくなるのは慶事である。でも、ついにジュニアサイズを突破してからはいきなりお値段3倍で気絶。

 そんなこんなで足も大きくなりつつ(笑)、うちの息子はこの春、ちゅうに、になった。なにやら悪ーい病にもれなく罹ると言われる年頃。いっちょまえに生意気な口などきくようになってきたが、我が家は私もダンナもモノ作り系の自営業で、反抗期のまんま何十年もきちゃった大人げない親なので、めでたく家族全員中二病となり寄ると触ると火花が散って、つかれる。ホントにつかれる。

「うたかたロケンローラー」で徹マガに初めて書いた時、小学校5年生だったから、ああ、もうそんなに時間が経ったんだなあとあらためてびっくりする。息子は小2でサッカーを始めて、フツーに近所の公立中学校に入って、フツーにサッカー部に入って、フツーよりちょっと下くらいの実力で(笑)、大人げなくすぐアツくなる親に時々どやされながら、じゃりじゃりの砂が撒かれたカッチカチの校庭でほそぼそとボールを蹴っている。

(残り 3438文字/全文: 4220文字)

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