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【無料】なぜ村井チェアマンは毎回炎上するのか? Perfumeの構造に学ぶコミュニケーションのあり方 ハト澤対談vol.1

澤山 そういう意味で、チャンピオンシップ復活にはメリットが明らかにありますよね。どこで優勝決定戦が行なわれるかはっきりしているから、仕込みができるわけです。1ステージ制のデメリットとしてはいつ優勝が決まるのか、ハッキリ日時がわからないから時間のかかる仕込みは打てないんですよね。

中村 なるほど。

澤山 ショービジネスとしてのメリットは明らかにあります。成り立つ余地は少なくともできた。現状、説明が足りなかったりタイミングが悪かったり「詳しくは書籍で」みたいな形になったりで、コアなサポーターほど不信感を抱く状況になっている。で、チェアマン批判の横断幕がバーっと掲げられたりする。大変もったいない。何度も何度もあの手この手で、手を変え品を変え訴えかけるべきだと思うんです。

中村 説明は下手ですよね。マンパワーが足りてないのかもしれないですけど。

澤山 メディア側の責任でもありますけど、こういうメリットがありますよということは絶対に言うべきだと思います。

中村 2ステージ制にしたことで10億円の損失を、とりあえず穴埋めできたというメリットはありますけどね。

澤山 ただ、緊急避難にすぎないですからね。何年契約かはわからないですが、継続的に地上波の露出を手に入れて放映権料をもらい続けるには、視聴率を取らないといけない。さもないとサポーターにはブーブー言われ、新規は入らない、視聴率は取れない、になると破綻しか待ってないわけですよね。となると、まずは既存のファンを最低でも敵に回さないってのが大事かなと。

中村 さっきPerfumeで生身の人間が出てきたときに安心したという話をしましたけど、Jリーグは生身の感じがあまりしないんですよね。なんだか役所的な感じの告知が多いというか。

澤山 なるほど、普段の実態がよくわからないから、たまに体温ある村井さんや中西さんが出てくると「顔」つまり叩くべき場所が特定されるから、そこに一気に感情がなだれ込むというんでしょうか。

中村 僕が応援するFC東京は、そんなに炎上しないんですよ。というのは社長とスタジアムの入り口でハイタッチできたり、人によっては文句を言えたり(笑)。広報の仕方も妙に人間臭いんですよ。「この日程、正直不便なのは重々承知なんだけど、コレコレこういう理由でここしか使えないんですよ、申し訳ないけどみんな協力よろしくね」みたいな告知が出てくることもあります。そうすりゃ、みんな理解できるし、愛するクラブのために協力しようという気持ちになるじゃないですか。

だけどJリーグは、決まったことだけをお役所のようにポンというから。みんな勝手に陰謀論を想像してしまうことが多いように思いますね。スポンサー事情なども絡んでいるため言えないことも多いんでしょうけど、場合によってはスポンサーを説得してでも裏事情を出すくらいでもいいのかもしれません。意思決定までこういう理由があったんだというのを出した方が、運営側もサポーター側もストレスは小さいと思います。

澤山 しょっぱなから、無茶ぶりにも関わらず面白い話をありがとうございました。この連載はちょいちょい穴も空くかもですが(笑)当面ゆるくやっていくつもりなんで、皆さま今後ともお付き合いのほどよろしくお願い申し上げます。

<了>

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