宇都宮徹壱ウェブマガジン

バルカンの戦後、そして日本の戦後 「戦後70年」であらためて考えるスポーツと平和 千田善のフットボールクリップ

徹マガ読者のみなさん、ごきげんよう!

8月は暑かったですね。この記事がみなさんのお手元に届くころには、秋の虫が鳴いていることでしょうが、夏の疲れが出ませんように。

この夏は、戦後70年という節目で、戦争と平和をめぐるさまざまな行事やできごとがありました。日本にいるとあまり感じませんが、世界ではいまでもあちこちで戦争が続いています。

日本が「戦後70年」に当たる今年、サラエボをはじめとする旧ユーゴスラビアでは、ボスニア戦争(1992~95年)の停戦から20年にあたります。

ちょっと宣伝になりますが、この秋にサラエボでの戦争をあつかった「ぼくたちは戦場で育った・サラエボ1992~95」という本が出版されます(10月下旬予定。定価など未定)。

「ぼくたちは戦場で育った」(集英社インターナショナル)
ヤスミンコ・ハリロビッチ 編著、角田光代 訳、千田善 監修
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サラエボの若い友人ヤスミンコ・ハリロビッチくんが編集した本です。

戦争当時(1992~95年)サラエボに住んでいた子どもたち(いまでは大人ですが)に、「あなたにとって、戦時下の子ども時代とはなんでしたか。160字以内で書いて下さい」と呼びかけたところ、千数百人から回答があった(160字はショートメールで送れる文字数)。そのうち千人あまりの分をまとめたもので、作家の角田光代さんの訳で出版の運びになったもの。ぼくは監修ということになっています。

内容については、追々紹介していきますが、たとえば、こんなものが──

問・あなたにとって、戦時下の子ども時代とは?
答・給水車を待つ行列での初恋──アミラ(女・1980年生まれ)

(戦争で停電・断水になったサラエボでは毎日20リットル入りポリタンクで水を汲みに行かねばならなかった。多くは子どもの仕事だった。給水車が車で何時間も待たされている間に……)

まだゲラが上がってきていないので、角田さんの訳した文章を読んでいないのですが、編集者はすごく良いといっています。ご期待ください。

(残り 5763文字/全文: 6591文字)

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