宇都宮徹壱ウェブマガジン

篠原美也子の月イチ雑食観戦記 第二十三回「雑色の夏」

tetsu_maga_150812イラスト:篠原美也子

わかりやすさという意味で、女子サッカーは子どもサッカーに似ている、と、ワールドカップに続き東アジアカップでなでしこを見て思う。男子と比べてやっぱりスピードがないので、ひとつひとつのプレイがよく見えて、私のような素人にはありがたい。ははあ、押し上げるってそういうことね、ああオーバーラップってそういう動きね。ウチのダンナはなでしこを見るたびに、子どもは女子サッカーを見たら絶対勉強になる、と言っている。確かに。子どもサッカーを見て初めて、スペースとか、逆サイドとか、そういうことかあと思ったことを思い出す。

研究不熱心なあたり、私に似てしまって、なでしこを見て勉強しているとこなんて見たことないウチの息子。この春から中学生になり、サッカー部に入って、夏休みも部活動にせっせと勤しんでいる。背が伸びなくなる気がして、小学生の時は筋トレや走り込みをなるべくやらせなかったので、いまガンガン走らされたりサーキットやらされたりしてひいひい言っている。でも相変わらずチビだけど(笑)。

小6の秋、公式戦が全部終わって、次は中学生かあと思っていた頃、クラブチームの体験練習あるよ、セレクションあるよ、と、チームメートに誘われて、ふたつほど覗きに行った。付き添いの親がみんなギンギンにマジで、そうか、こういう世界があるのかとちょっとびっくりの経験だった。

Jリーグの下部組織から、やる気があるならウエルカムのわりと気軽なクラブまで、クラブチームとひと口に言ってもいろいろである。公立中学の部活とクラブチームを比べて、クラブチームを選ぶおうちの意見としては、部活動は初心者にも対応するので経験者にとって実りある練習が出来ない、基本的に指導者(顧問)が学校の先生なので、教えるどころかヘタすると競技を知らないこともあるし、たまたまいい先生に当たったとしても、公立の場合異動で突然いなくなる可能性がある、という感じ。要するに、部活ではうまくならない、ということだ。

なるほどー

別に全員がプロを目指すというわけではないけれど、単純にせっかくやってきたんだから中学校でも出来るだけいい環境でという気持ちも、その結果あわよくば高校もスポーツ推薦で行けたらいいねという気持ちも、親としてはよくわかる。我が家は息子と相談しながら、結局部活を選択。チームメートに部活組がわりと多かったこともあるが、親として、これはたぶん世代的に、この時期はまだ「学校」が拠点であってほしいという気持ちもあった。

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