【ゆきラボ】映画「PERFECT DAYS」感想雑記と、ドイツのトイレの話
こんにちは!ドイツの日常コラム「ゆきラボ」です。
先日、友人と映画「PERFECT DAYS」観てきました。
公開されていたのはフライブルクの小さな映画館「フリードリヒスバウ」。1911年に開業した、フライブルクで一番古い映画館です。コロナ禍での長期閉館、再開後の観客減、建物の老朽化に伴う改装コストの重い負担などで経営が立ち行かなくなり、2023年の3月末をもって閉館することが予定されていました。
しかし、存続を望む市民からは6万ユーロものクラウドファンディングが寄せられました。さらに州の映画協会や、ドイツ映画委員会、ドイツ連邦政府の文化メディア支援プログラムなどから支援が受けられることになり、フリードリヒスバウは今日も元気に営業しています。フライブルクには大きなシネコンもありますが、じっくり味わいたい静かな作品や、長く観客を集め続ける佳品のロングラン上映は、やっぱりこのような小さな映画館です。「PERFECT DAYS」も、オンラインでチケットを予約したときにはガラガラだったのですが、当日足を運んでみると7~8割ほどが埋まっていました。
未だにプラバンのアルファベット並べて上映タイトル作ってるのがまた良き
※ここから映画の中身に言及しますので、まだ観ていない方はご注意ください※
※トイレの話もしますので、飲食しながら読んでいる方はご注意ください※
で、「PERFECT DAYS」ですが、先に観た別の友人(訪日経験あり)からは
「家のトイレをもっと丁寧に掃除しようと思った」
「日本がどこもかしこも清潔である理由がわかった」
というコメントをもらっていました。役所広司さん演じる平山さんの丹念なトイレ清掃シーンでは、感心しているのか、え?そこまで徹底的に掃除するの?と驚愕しているのか、どちらともつかないため息交じりの声が周囲から漏れ聞こえてきました。
かく言う私も、帰宅した翌日、Spotifyで見つけた映画のサントラをかけながら、トイレとキッチンをきっちり掃除しました。自分の周囲の空間が清潔で片付いていて、その中に自分の好きなものや大切なものが、多すぎない分量できちんと存在している。それだけでどれだけ心が穏やかに充足するのか、ということを実感させてくれる映画だったと思います。
それと、自分が東京で1人暮らししていたときの風景も懐かしく思い出しました。私が住んでいたのは、映画に登場するような風呂なしアパートではなく、風呂もエアコンもある部屋でしたが、大学の近くにあった風呂なし激安アパートを友人と共同で借りて、そこのキッチンを暗室にして写真を現像したりしていた時期があります。当時撮った写真は、今でも実家の押し入れに眠っています。
東京で1人暮らしを始めたとき、地元よりもずっと都会で現代的なはずだと思っていた街・東京に、地元の感覚からするとかなり「昭和」で「レトロ」な施設や店がたくさん残っていたことは新鮮でしたし、そんな景色の中を、父にもらったフィルム一眼レフカメラを持って歩き回るのは楽しいことでした。私の育った地方都市では、暖簾と番台のある銭湯も、古びたコインランドリーも、個人経営の小さな文具店も、そしてクセのある店主が座る古本屋も、物心ついたときにはすでにほぼ消滅状態だったからです。
古本屋の1冊100円コーナーで文庫本買うの、楽しかったな
古い湯沸かし器のついたキッチンで歯を磨き、ホルガのフィルムで写真を撮る平山さんの日常に、20年以上前の東京での学生生活の懐かしさを思い出しました。
野暮を承知で言えば、現実の東京生活にはもっと厳しいこととか目を背けたくなるようなことだって山ほどあるはずなんですが、それも含めて、淡々と日々の営みを繰り返し、自分にできることと一つ一つ丁寧に向かい合っていくことの美しさが感じられる作品でした。
3月21日からは是枝裕和監督の「怪物」公開です。楽しみ!
後半は映画の内容つながりで、ドイツの公衆トイレ事情です。
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