中野吉之伴フッスバルラボ

【指導論】《わかったつもり》の思い込みは危険。先入観にとらわれず、何をどこからどのように見るべきなのか。

▼ わかったつもりの危険性

「常に周囲にアンテナを張っておこう」
「感度を高めておかないと大事な情報を取り逃すよ」

そんな口にしたり、耳にしたことはだれにでもあるのではないだろうか?

情報はそこら中にあふれている。ネット時代である現代は、スマホを開いたらそれこそ毎日、毎時間、毎分、毎秒新しい情報が飛び込んでくる。ショート動画を見ていたら、なんとなく離れられなくて気が付いたらこんなに時間がたっていた、なんてことはよくある話。

一つ一つをじっくり読んでいたらとてもじゃないけど追いつかないからと、どんどんスクリーンさせていって、気になる見出しや文面が合ったら少しそこで時間を作って、また次の情報へ飛びついていく。

そんな生活が日常化していく。

派手めな見出しや興味を引く表現でどうにかクリックして、WEBページに飛んでもらおうと各メディアがしゃかりきになるのもわからないわけではない。そうしないといけない実情があるのは確かだから。

必要な人へ必要な情報を届けて、そこでのやり取りを濃密にしようというサブスク文化が増えてきたのも時代の流れだろう。同じような視点で、同じような趣味嗜好を持った人が、同じような価値観で語り合えたり交流をできる場はきっと居心地がいいし、そこでの結びつきからさらなる話が生まれたりということもある。

でもそこでの居心地がいいとそこでの価値観だけが全てみたいになる危険性もある。馴れ合いとまではいわないけど、人の成長にはコンフォートゾーンを飛び出して挑戦する機会が必要だし、大切だ。まず安心・安全があるコンフォートゾーンを自分で確保するのがスタートとしてある中で、そこから次のステップに踏み出せる環境がそこにあるかは常に考えた方がいいはずだ。

人間は一つの思考パターンに慣れ親しむとそこからさらに深く考えたり、他の視点でものを考えるのが難しくなる。

先入観や思い込みがマイナスに作用することもある。それはせっかく持っていたはずの感度が鈍っていることに他ならない。

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