中野吉之伴フッスバルラボ

【きちルポ】日本におけるスポーツの価値を高めるために大切なこと。18歳以降の環境について考察した

▼ 大学サッカー界のあり方

欧州では19歳から21歳までを育成の仕上げ年代として非常に重要視している。18歳までにプロクラブのトップチームでデビューしてその将来性を高らかに期待される選手の出現は確かにメディアに取り上げられやすいし、実際にそうした選手も存在する。

ドイツのサッカー界でいえば10代でデビューし、今や代表で欠かせない存在となっているジャマル・ムシアラ(バイエルン)、カイ・ハベルツ(アーセナル)、フロリアン・ビルツ(レバークーゼン)などの名前があげられるだろう。

でも、プロの世界において長く活躍し続けている選手のほとんどは、ユース年代を終えた後いきなり1部リーグでプレーするのではなく、U23チームや2部、3部リーグで数年間じっくりと自分の成長と向き合う時間をもっている。そしてその時期がない選手の多くは気が付くと消えているのが現実だ。大事なのは所属先ではなく、確かな試合環境と自分の成長とじっくりじっくり向き合える時間。

そうした点で日本では大学スポーツが持つべき意味合いはとても大きい。Jクラブで19-21歳の選手がプレーする機会は現時点で残念ながらほとんどない。かといって充実したセカンドチームを持っているクラブは皆無。J3やJFLで修業を積む選手も増えてきているが、確かな場数をふめているかというとなかなかに難しい。

そうした背景もあって、サッカー日本代表メンバーの中には大学サッカーを経て成長した選手も増えてきている。現在プレミアリーグのブライトンでプレーする三苫薫はその代表格。また大学サッカー部から欧州サッカークラブへ移籍する選手も出てきている。

ブンデスリーガのヴェルダーブレーメンは公式ホームページで、明治大学のU21日本代表FW佐藤恵允が同クラブのU23チームへ加入すると発表。これもまた新しい流れだ。大学サッカー経由でステップアップを考える選手が出てくるのは現状からすると理にかなっているといえるかもしれない。

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