中野吉之伴フッスバルラボ

【ゆきラボ】ドイツはイースターの旅行シーズン。名城から小さな城跡まで、ドイツの城の話

こんにちは!ドイツはクリスマスやファスナハトに次ぐ大きな行事・イースターが終わったところです。現地の季節感から言うと、イースターが終わったらそろそろ本格的な春という気分なんですが、一方でドイツには”Osterschnee”=イースターの雪という言葉があり、4月のこの時期になっても急に気温が下がったり、時には雪やヒョウが降ることさえあります。

一日の中でも、晴れて暖かい時間帯があったかと思えば、急に風が出て雨が降って冷え込んだりと、変化が激しいのもこの季節の特徴。4月を気分屋の人に見立てた、”Der April macht was er will”=4月は気まぐれでやりたい放題という言葉もあるくらいです。

卵とバターと〇〇〇と〇〇〇〇。ドイツの春の味覚の話

そんな中ではありますが、イースターは多くの人が帰省したり家族旅行を楽しんだりするシーズン。私たち家族も、この連休を利用して近場に一泊旅行に行きました。目的地はフライブルクから少し北に行った地域にある古城。行こうと思えば日帰りでいつでも行ける距離ですが、いつでも行けると思ってしまうと結局行かなくなりがちですよね。近場でもいいからホテルに泊まって気分転換したいという気持ちもあり、この機会に宿泊込みで2か所ほど近くの小さな古城を回ってきました。

ホーエンツォレルン城

スイスやオーストリアまで含めたドイツ語圏には、城塞建設が最も盛んだった時代で、1万数千とも2万を超えるとも言われる数の城があったそうです。これらの城全てが現存しているわけではありませんし、そもそも「城」をどのように定義するかによっても数は異なるので、はっきりした数はわかっていません。近年になって土木工事や発掘などによって新たな遺構が発見されるケースもあり、もっと多かったのではという推定もあります。

ちなみに、全米にあるマクドナルドの店舗が14000店ほどだそうなので、ざっくり「ドイツの城の数は、現在の全米のマックの数より多かった」という言い方ができるそうです。米独の国土面積の差も考慮すると、ものすごい城密度です。城までの道を歩きながら長男が教えてくれた話です。

ライン川沿いにもたくさんの古城が残っています

これらの城の大半は、現代では跡形もなくなってしまっています。が、部分的に城の姿をとどめているもの、再建や修復を経て往時の姿をとどめており、訪れることが可能な場所はそれでも3000~6000程度だと言われています。日本で現存していて見学可能な城が200ほどだそうですので、多くの城が失われた現代でも、やはりドイツの城は圧倒的に数が多いことがわかります。

ドイツが今日のドイツに近い1つの国になったのは1871年のこと。それまでは大小様々な国や自由都市が存在する地域だったので、それぞれの支配者がそれぞれの領地に様々な城を建てたことで、城の数も増えたと言われています。日本にもかつては万単位の数の城があったそうですが、近世になって天下が統一され、江戸時代に城は一国一城と定められたことで、その数が激減しました。ドイツが統一されたのは日本の明治時代初めの頃なので、日本に比べると、城が実用的に使われる時代が長かったと言えるかもしれません。

それに、やはり日本に比べて大きな地震や暴風雨が圧倒的に少ない国ですし、素材も石がメインですから、木造の建物に比べて、古い建物やその跡が残りやすかったということは言えると思います。

後半もお城の話、続けます。

(残り 1500文字/全文: 2956文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

日本サッカーの全てがここに。【新登場】タグマ!サッカーパック

会員の方は、ログインしてください。

1 2
« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ