中野吉之伴フッスバルラボ

【きちルポ】カーンやショルを輩出した古豪カールスルーエの歴史を振り返る

▼ ドイツクラブ巡り

クラブにはそれぞれの歴史があり、伝統があり、美徳があり、こだわりがある。現在ブンデスリーガで1部に所属しているクラブだけではなく、それこそトップチームが10部や11部のクラブでも100年以上の歴史があったりする。

どんなクラブにも紆余曲折がある。いい時代も、苦しい時代もある。それぞれの取り組みはポジティブなものばかりではない。時に自分で自分の首を絞めるような政策をしてしまうことだってあるだろう。そうした一つ一つの決断がいまへと結びつく重要な節目となっていく。

良きも悪きも、誰にでも起こりえること。だからこそ、他人事にするのではなく、そうした一つ一つの決断の背景を知り、取り組みの意図を知り、自分の立ち位置と照らし合わせ、考察することはとても意味があることだ。

そんなわけで今後フッスバルラボでは、ドイツクラブの歴史を紐解くコラムをお届けしていきたい。

今回取り上げるクラブは《カールスルーアーSC》。現在2部リーグに所属するこのクラブは、かつてオリバー・カーンやメーメット・ショルといったドイツを代表するスター選手が育まれたクラブとして有名だ。

▼ 創立129年の古豪クラブ

ドイツの玄関口であるフランクフルトからICE(ドイツ版高速電車)で1時間ほど南に下るとカールスルーエという町に到着する。人口約29万人とドイツの中では中規模な街だ。

駅を出るとすぐ前に広大な敷地の動物園が広がり、その先に街の中心部がある。近代的なビルと歴史ある建造物の間を通り抜けていくと、雄大なカールスルーエ城が見えてくる。

クラブ創立129年を誇るカールスルーアーSC(以後KSC)の本拠ヴァルトシュタディオンは、このカールスルーエ城の裏手にある森の中に存在する。ヴァルトは森、シュタディオンはスタジアムなので、文字通り《森のスタジアム》だ。

(残り 3590文字/全文: 4354文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

日本サッカーの全てがここに。【新登場】タグマ!サッカーパック

会員の方は、ログインしてください。

1 2
« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ