中野吉之伴フッスバルラボ

【挑戦】選手のお父さんと激しいディスカッション。互いに歩み寄ることでみんなが成長できる方向へ導きたい

▼ 口うるさいお父さんがいたらどうする?

ホッホドルフのU13は23年に入ってのリーグ2戦目を快勝で飾り、みんな大喜び。チームミーティングもいい感じにできたしと好感触を喜んでいたら、一人のお父さんから僕に連絡が。かなり長めのメールだ。要約するとこんなことになる。

「まずは勝利おめでとう。今日の内容は素晴らしかったと思う。ところで息子から聞いたんだけど、試合中の僕の声がうるさくて嫌だという選手たちがいるというんだ。正直ちょっと心外だ。そんなつもりで応援しているんじゃないんだから。一度子供らと直接話をする機会を作ってもらってもいいだろうか?」

実はこのお父さんは僕が結構頭を悩ませていた存在。

本人は「ちょっと感情的になることはあるけど」というけど、僕からしたら《ちょっとどころか》相当うるさい。逆サイドにいる僕のところまで声が聞こえてくることがしょっちゅうなんだから、プレーしている選手たちがその声を気にすることがあっても不思議ではない。

本人が認めるように《とても感情的な人》だから、時折かなり言いすぎなことも言う。彼が叫ぶとチーム全体のプレーが落ち着かなくなるという現象も出てしまっている。

ただ、僕としてはこのお父さんの《感情》も理解できないわけではない。応援したい気持ちがうまく伝わっていないということもある。そのお父さんの息子君はそうした父親のあり方に慣れているようで、そこまで気にする様子もなくプレーしているし、接している。

でも彼が大丈夫だから、ほかの子も大丈夫というわけではない。彼にしてもミスをいちいち「なんだそのプレーは!」どやされるより、うまく気持ちを盛り上げてくれた方がいい。《心に火をつける》にしてももっと他のアプローチだってあるわけだ。

なので、僕も同席ということで、特に問題と感じている選手2人と一緒に話し合いをすることにした。

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