気持ちをコントロールできるようになることは大切だ。でもそのためにプレッシャーをかけすぎたらうまくいかないのだ。
▼ 指導者の指導者としての挑戦 Vol.6
3月、シーズン後期が始まった。フライブルガーFC U13は最初2試合で2連勝と順調なスタート。最初の試合ではアウェーに加えて初戦特有の緊張感からか、普段通りのプレーができなかったりもしたが、それでも我慢強い戦いを見せてくれて、無事に勝つことができた。
それぞれのクラブが自グラウンドを持っているドイツをはじめとするヨーロッパでは、小さいころからホーム&アウェーの感覚を持っている。普段からプレーしなれているホームグラウンドはやっぱりやりやすい。それは視覚的なものも影響する。どんなグランドで、どんな控室で、回りはどんな景色で、どうやってそのグラウンドに行くか。そういう一つ一つが当たり前としてわかっている場所でプレーできることは大きなメリットになる。
逆にアウェー戦ではそうしたリズムがちょっとずつずれてしまいがちだ。普段通りに集合時間に間に合うように家を出るとしても、会場までの時間、道のりが違えば、感覚が知らないところでいつも通りではなくなっていたりする。指導者にとってもそれは同じ。同じ感じで集合しているのに、控室の大きさや試合に向けて準備している用具の確認、事務作業の流れなどもいろいろ普段通りではないことが出てきてしまう。
控室の空気感が変わると、試合前のミーティングの雰囲気も少し違う。そうした誤差を微調整して、普段通りのプレーができるように持っていくことが選手には求められると思うし、選手がそうできるように準備をしてあげることが指導者には求められると思う。
2戦目は2桁得点で大勝。相手も開始10分までは非常に積極的で組織だった守備を見せていたが、2-0となった段階で気持ちも切れてきてしまった。うちのチームがその後も集中して、トレーニングで取り組んでいるプレーにどんどんチャレンジしてくれたことは素直にうれしいし、一人でではなく味方と協力しながらコンビネーションでどんどんチャンスを作り出したことはとても評価している。一方で同じリーグ内でどうしても大きな差がついてしまう点はドイツにおいても改良していかなければならないところだろう。
学年ごとに”当たり年”に恵まれるチームがある。能力値の高い選手が小さい時からずっと仲良しで、そこでずっとサッカーをしてきたチームだ。時には地元の強豪クラブよりも好選手が集まる時もある。U13だと3部リーグ制。そうすると2部や3部で一気に優勝して昇格みたいなケースも出てくるわけだ。ただ翌シーズンその選手たちがいなくなると、戦いきるだけの戦力がなくて負け続けてすぐに降格というクラブは少なくない。毎シーズンコンスタントに好成績を残せるだけのチーム力を保持するのは簡単ではないし、それが目的になってしまったら育成においての取り組みがずれてしまうこともある。たとえば前半戦の結果を受けて、数チームを一つ下のリーグで、一つ下のリーグからは各地域1チームずつが一つ上のリーグでプレーをするなど、ある程度レベルに応じた試合の確保を可能にする形が望ましいのではないかと思う。
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