Jウォッチャー ~日本サッカー深読みマガジン~

【ニュース】Jリーグ理事会で「2026‐27シーズンからシーズン移行を実施し、残された課題を継続検討していく」ことが全会一致で決定。「世界と戦う舞台にJリーグを変えていこうというようなことを、この10か月かけて話をしてきました。その中でシーズンを変える事が必要なんじゃないかという事から、今回のシーズン移行の話に至りました(野々村チェアマン)」

12月19日、Jリーグの理事会が行われ、「2026‐27シーズンからシーズン移行を実施し、残された課題を継続検討していく」ことが全会一致で決定した。

理事会後にはJリーグ・樋口フットボール本部長が説明を行ったあと、野々村芳和チェアマンがこれまでの経緯と感想を述べた。

※これまでに話した事や内容が重複している部分については割愛しています。


○Jリーグ・野々村芳和チェアマン

もう一度はっきり僕からも伝えたいのは、10か月以上本当にたくさんの関係者の方達と話をしてきました。おそらく今まで無かったような、実行委員だけでなく各クラブのスタッフを含めて考えると500人ぐらいの人たちを交えて、これからの日本のサッカーやJリーグをどういう方向に持っていくのかという話をしてきました。

Jリーグ配布資料「Jリーグ『シーズン移行』~次の30年に向けて~」より

 

 

その中で導き出された答えが世界市場でしっかりと勝負をしていこうと。世界と戦う舞台にJリーグを変えていこうというようなことを、この10か月かけて話をしてきました。その中でシーズンを変える事が必要なんじゃないかという事から、今回のシーズン移行の話に至りました。

僕もどうするのがいいのかもう何十週、何百週と考えてきた中で、日本における夏場のパフォーマンスの低下が明らかなデータとして出てきたと。これは本当に変えていかなくてはいけないなと思いました。

Jリーグ配布資料「Jリーグ『シーズン移行』~次の30年に向けて~」より

Jリーグができて30年経ちますが、30年近く前は、自分もプレーヤーとしてやっていた中で、本気で世界を目指していた選手が当時どのくらいいたのかと言うと、当然ながらまだまだ多くなかったと思います。ただそこから、最近の日本代表のワールドカップの結果や日本を代表する選手の海外での活躍を見ればわかるように、選手達は本気で世界を目指しています。なおかつ小さい子供たちもやっぱり世界を目指しています。おそらくここからもうすぐ日本の指導者たちも世界に出ていく事になっていくと思う中で、これは僕の反省でもあるんですけど、クラブを担っている我々が本気で世界を目指すことに対して、今の時点でどれだけコミットできていたのかと、この10か月の中で自分自身自問自答してきました。また多くの実行委員の人たちもスタートラインは60クラブあるので、いろいろな考え方を持っている中で、長く議論をする中でだんだんみんなの足並みが合ってきたのかなと感じています。

当然ながら背景も違えばクラブのサイズや地域性も違う中でいろいろな意見があって当然だと思うんですよね。ただそういった意見もある中である時期から日本のサッカーやJリーグをどうしていこうかという事に対しては一枚岩でやれていたんじゃないかと感じています。

Jリーグ配布資料「Jリーグ『シーズン移行』~次の30年に向けて~」より

 

先ほど言った通り、夏場という事を考えた時に、Jリーグが公益社団法人という事も含めてJリーグの理念に立ち返らなくてはいけないというふうに僕の中ではある種結論として感じました。
Jリーグの理念の最初に「日本サッカーの水準向上及びサッカーの普及促進」がある中で、谷型のカーブを描くような中で選手達をプレーさせることは僕としてはこれは絶対にできないなと感じました。

2つ目の理念の中で、『豊かなスポーツ文化の振興及び国民の心身の健全な発達への寄与』、この部分がすごく大事な部分だと思っています。

サッカーというスポーツの特性上、夏にプレーするのはこのままでよかったんだっけと。夏のサッカーのあり方ももう考えていかなくてはいけない時期にあると思うんですよね。一方で、僕は札幌で長く生活をしているので、夏だけじゃなくて冬のスポーツ環境がこの30年間で進歩したかと言われれば、ほぼしていないんですね。多くの子供たちを含めたスポーツをしたい人たちに冬場の3か月~4か月で大きなコートでサッカーができない事をしっかりと変えていかないといけないと強く思っています。

Jリーグ配布資料「Jリーグ『シーズン移行』~次の30年に向けて~」より

サッカーのシーズンを変える事よりも責任とか大きなものが僕らにはあると思うので、気候変動が大変な中で、サッカーがどういうスタンスを見せてもっといいスポーツ環境を日本に作ったり国民の健全な心身の健全な発達への寄与にできるような改革をしていこうと。そんな事を考えると、大きな筋で今回のシーズンを移していく事はすごく大きな意義のある事ではないかと思い、こういう結論に至りました。

繰り返しになりますが、この1年間で本当に多くのサッカー関係者・スポーツ関係者といろいろな方と話をしていく中で、それぞれの人の意識もだいぶ高みを目指すようになったと思いますし、これが決まったからこれで終わりではなく、ここからがすごく大事だと思います。

10年後、20年後、30年後、日本のスポーツ文化が良くなったり日本のサッカーが世界に追いつけて、小さな子供たちもより大きな夢を描けるようになったと言ってもらえるような行動をこれからしっかりとJクラブの皆さんと協力しながらやっていきたいと思います。
今日、理事会が終わった後に各クラブの皆さんにもお伝えさせていただきましたし、そういう方向で進んでいくんじゃないかと僕自身も期待しています」

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