Jウォッチャー ~日本サッカー深読みマガジン~

「スポーツ界全体で、脳震盪に対して無理は絶対にしないというメッセージを出していくことは非常に重要だと思います(Jリーグ・原副理事長)」~2021年度第1回の理事会より(5)~

1月28日、Jリーグの2021年度第1回の理事会が行われ、理事会後WEB上で記者会見が行われた。

会見のコメントについて、前回に引き続き、質疑応答の部分をお届けします。

(4)はこちら

Q:Jリーグ公式試合等における脳振盪による交代の試行について。『氏名を届け出る交代要員の数が、交代の最大数と同じである競技会においては、既に交代で退いた競技者であっても「脳振盪による交代」に基づき、交代で競技者になることができる』とありますが、どういう状況での適応するのか具体的に教えてください。

Jリーグ公式試合等における脳振盪による交代の試行について(Jリーグ公式)

※Jリーグ・中村清氏が補足
「例えば、Jリーグのトップの試合で申し上げると、交代できるベンチ入りの人数は18名で、交代できる人数は7名、そのうち交代できるMAXはルール上5名となります。ただ育成の大会では、ベンチ入り人数が7名の場合でもレギュレーションで7名交代できる場合があります。そういった場合に一回出場してベンチに下がった選手でも脳震盪の選手が発生した場合には再出場できるということです。もちろん脳震盪の疑いで交代した選手は再出場できませんが、代わりに出る選手がすでに交代していた場合は、交代人数と控え人数が同じ大会については、そういうルールを適応することになります。主に育成の大会などが対象となります」

Q:脳震盪について。大相撲のケースもあり、社会的にも関心度が高い事例だと思います。脳震盪は選手生活だけではなくセカンドキャリアにも大きな影響を与えると思います。今回のルールにどのような効果や影響を考えていますか?
※村井チェアマンが回答
「まず今回の判断は、選手の安全を守るためという意味で、極めて重要な判断をいただいたと感じています。骨折とか筋肉系の怪我とは違って、本人が脳震盪だと気づかずにプレーをし続けてしまう事がありえる危険性があります。これは一定期間の間に再び起きると、今後の人生などに甚大な影響を与える被害を与える可能性があります。後遺症の問題であり、甚大な生命そのものへの影響があるので、適切に対処すべき事案だと思っています。

また、アカデミー世代・育成世代、グラスルーツでは、脳震盪と近いところでプレーしている可能性もあります。トップリーグであるJリーグが、脳震盪に対する万全の啓発や予防をすることが、サッカー界全体、もしくは理事会でもサッカー以外でもこうした問題は極めて重要であるという視点や提示があります。スポーツ界にとってとても重要なことだと思います」

※原副理事長が補足
「僕は脳震盪を何度もやりまして、極端に言えば一年くらい半身にしびれが残ったこともありました。その影響もあって最近物忘れが激しいのかもしれませんが(笑)。やはり後遺症が出ることが、いろいろなデータではっきりとわかっています。トップリーグでも社会人でも学生でも、交代した後にそういった事象が起きた時、本人も申し訳ないという気持ちが働いて『大丈夫です』と言ったり、あるいは指導者の方も『もうちょっとだからやれ』という事が起きやすいです。特に子供にとって重要だと思います。子供たちが頭がぶつかった衝撃が、僕らが経験していた以上に大きいというデータもたくさん出ています。それはトップリーグ(Jリーグ)だけではなくて、スポーツ界全体で、脳震盪に対して無理は絶対にしないというメッセージを出していくことは非常に重要だと思います」

Q:先ほど五輪期間中に延期された試合を開催するかどうかという話がありましたが、IMD(インターナショナルマッチデー)についてはいかがですか?

※黒田氏が回答
「IMDについては、原則では代表側に拘束力があるので、クラブ側としては選手を送り出さなければいけないので、原則論で言えばIMDに試合をやることは原則考えていません。ただ、その先にあるものが見なし開催でこれは非常に重要なことなので、個々に判断していくことになります。みなし開催というルールがある前提では、現時点ではIMDに試合することは否定していない考え方です」

Q:アジアサッカー連盟(AFC)が3月のワールドカップ予選を場合によっては延期することを検討している報道が出ています。その場合、3月下旬に日程が空く可能性がありますが、そこにJリーグの日程を入れる可能性はありますか?

※黒田氏が回答
「現時点では我々も正しい情報を持っているわけではありません。それを前提に何か断定してシミュレーションはしていません」

Q:もし正式に発表になった場合、日程を入れる余地はありますか?
※黒田氏が回答

「すでに試合日程も決定しているので、変更することになればクラブとも協議はしなければいけません。ただそういった相談はしていません」

※原副理事長が補足説明
「仮にそうなった場合、例えばA代表はできなくても、五輪に備えて(合宿などをしたり)アンダーカテゴリーも含めて、何かする拘束力はJFA側にあります。ですので、簡単に日程を引っ張って入れられる状況にはありません」

Q:ACLグループステージの日程の組み分けが出ましたが、グループステージはセントラル開催となっています。現状、コロナの影響を考えた時に、セントラル開催が可能な国はあるのでしょうか?

※原副理事長が回答
「まだ大会日程も開催地も決まっていないのは、それが現状なんだと思います。なのでセントラル方式でやることは決まっていますが、地域も場所もまだ決まっていないのが現状です」

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