サッカー観戦における「老い」を考える 月イチ連載「大人になった中坊コラム」
【中坊(ちゅうぼう)プロフィール】
1993~2023年のスタジアム観戦数は962試合。特定のクラブのサポーターではなく、関東圏内中心でのべつまくなしに見たい試合へ足を運んで観戦するスタイル。
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東京V 0-1 清水
現地観戦1,000試合目
今まで観戦を淡々と積み重ねてきて節目の試合として特にこのカードを狙ったわけではないのだが、5万人超えの開幕国立、2年前の因縁カードという印象に残りやすい試合となった。
今まで楽しませてくれてありがとう。そしてこれからもサッカーを楽しんでいきます。 pic.twitter.com/AyWeCRbysB— 中坊 (@tyuu__bou) February 16, 2025
2025年の開幕節、こんなポストをした自分であるが、30年もサッカーに関わると「老い」を感じることもある。
単純に物忘れが多くなって…。とかならいいのだが「これは嫌だな」というタイプの老いがある。自分自身で感じる部分もそうだし、周りを見てても感じる部分も含めて、サッカー観戦における老いについて述べていきたい。
1)変化に対するネガティブな反応
これについては、自分自身はまったく当てはまらず、むしろ周りを反面教師にしているくらい。そして老いの中で、ここが一番恐ろしいと感じる。
サッカーに限った話ではないが、この世は常に変化し、アップデートされていく。その時代の流れについていけず、すべての変化に対して悲観的になっていてネガティブな反応を示し続ける人が、自分の周りの40代以上のサッカーファンは本当に多い。「これがまさに老いなのではないか」と、危機感を含めて感じている。
Jリーグしかり、海外サッカーしかり、ワールドカップしかり、制度変更には事欠かない。もちろん、その変化がすべて手放しで喜べるものかというと、まったくそうではない。「改善20%、改悪10%、意見の分かれる改革70%」ぐらいの割合というのが、個人的な実感だ。
ところが「改悪100%」ぐらいの勢いで、常にネガティブな反応を垂れ流す、年齢を重ねたサッカーファンが一定数いる。こうなると、人生を豊かにするはずの趣味が、逆にストレスのもとになってしまい、本人の精神衛生上も大変よろしくないのではないか。
そもそも、制度を構築する側もファン離れを避けたいし、より良くして新たなファンを獲得していきたいと考えているはず。スポンサーや競技者側など、ステークホルダーとの交渉の中で、着地点を見出しているという前提もある(わざわざ自分たちの首を絞めるために改悪に動くわけがない)。
また現状維持は停滞、さらには衰退を招くため、何かしら変化をしていかないと世の中に置いていかれる。そのためには、トライ&エラーで施策を打ち出していくことが重要。前FIFA会長だったゼップ・ブラッターは「100個のアイデアを生み出すが、そのうち101個がくだらない」と叩かれていたが、中身はともかく「変化し続けなければならない」というのは、留意すべきポイントだ。
にも関わらず、常に制度変更にケチをつけ続ける人はいるし、「昔はこんな悲観的ではなく、文句ばかり言う人ではなかったのに随分と変わったなあ」と友人・知人に対して(特にここ数年)思うことが増えた。これがまさに老いなのだろうなと感じる。
こうなってしまうと、もはやストレスを溜めるために観戦しているようなものだ。民放TVを見ながら画面に向かって文句を言い続ける、中年や老人と何ら変わりない構図。
こうした老い方は、本当に避けたいところだ。
2)体力の低下による観戦数の激減
サッカー関係の友人・知人を見ていると「追い求める熱が下がった」という情熱の薄れ、「体力面の低下で遠征数激減」という体力減少からの理由で、観戦数低下が顕著に感じられる。現地スタジアム観戦しかり、TV観戦しかり。観る回数が減っているのは「家庭環境の変化」もあるだろうが、一方で老いもあるだろう。
TV観戦の場合、海外サッカーだと時差が影響するため、昔なら深夜でも見ていた人たちが、加齢とともに遅くまで起きていられず、観戦を諦めることとなる。特にワールドカップや五輪、欧州サッカーにおいては、深夜キックオフが定番。年をとると翌日に響くことから、深夜2時や3時キックオフの試合で(たとえどんなに重要な試合であっても)眠気に負けて寝てしまうパターンが多い。
それどころか、23時キックオフの試合ですら起きていられず、寝てしまう人には驚いた。もっとも、いずれ自分も年をとると夜がキツくなるのだろう。
現地観戦の場合、日本のスタジアムはアクセスに難ありの場所が多いこともあり、その点でも老いによる体力低下は、出不精や観戦数低下に直結してくると思われる。
なお、自分の過去、年間100試合現地観戦から40試合程度への観戦数低下については、老いというよりも「環境の変化」(子育てや会社での役職変化など)によるものと考える。

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