J1第9節全試合振り返りLIVE(J論)【4/7(月)22時】

宇都宮徹壱ウェブマガジン

「交通のハブ」「観光の起点」となるスタジアムを! モンテディオ山形が推し進める「生存戦略」<3/3>

試合日に山形駅からシャトルバスを出さない理由

──この新スタジアムについては、運営やイベントなどの企画を行うための新会社を設立したそうですね。

相田 そうです。「株式会社モンテディオフットボールパーク」というSPC(特別目的会社)で、今年の5月31日に設立しました。私が社長を兼任して、株主は株式会社モンテディオ山形、Sol Levante Sports株式会社、NECキャピタルソリューション株式会社、そして株式会社JTB

──Sol Levante Sportsは、スタジアム・アリーナ事業。NECキャピタルソリューションは、リースやファイナンスの事業。これらの企業と組むのはわかるのですが、そこにJTBが入っているのが興味深いですね。

相田 なぜJTBさんがいるのかというと、山形県の観光を伸ばしたいことや、移動の手段を整えたいという思惑があるからです。宇都宮さんもこちらに来て、お気づきだと思いますが、山形には観光の起点となる場所がないんですよ。新幹線から降りても、どこに向かって歩いていけばいいのか、わからない。山形市の観光案内センターは、栄えている駅の東口とは反対側のブリッジを渡って、ビルの1階まで行かなければならないです。

──確かにそうでした!

相田 一方で地元の方たちも、基本的に車で移動しています。ですから試合日に「山形駅からシャトルバスを出します」と言っても、あまり刺さらないんですよ。なぜなら地元の皆さんは、有料駐車場しかない駅前に立ち寄って、バスで移動するというようなことは考えません。それであれば、無料の駐車場のあるNDスタに車を停めて、試合を楽しんだらそのまま帰る。

 そうなると、われわれのホームゲームを観に来る人たちにとって、山形駅前に寄っていただく理由がないですし、駅前の存在感はあまりないということになります。現在はJRさんのご協力もあり、最終電車を遅くしていただいたり、増便や車両を増やしていただいたり、可能な限り電車をご利用いただきやすい状況にしていただいています。

 それからクラブとしても、最寄りの天童南駅からご来場いただくご案内をさせていただいています。私たちとしては可能な限り、公共交通を使っていただくことで、スタジアムを大いに楽しんでいただける環境作りを心がけています。と同時に、山形県内のさまざまなところにアクセスできるようになってほしい、という想いもあります。

──NDスタジアムの取材では、これまでずっと天童駅からバスで通っていましたけれど、天童南駅からだと歩いて行けるんですね! 試合後は、そのルートを使うことにします。いずれにせよ、新スタジアムが交通のハブになることが望ましい、という理由が今の説明でよく理解できました。

相田 われわれがやりたいのは、県内の観光を活性化させつつ、新スタジアムをその起点とすることなんです。ここは太平洋側と日本海側の真ん中あたりにあって、山形空港まで15分、高速のインターも5分くらいでアクセスできます。そして約6000台を常時駐車できるスペースもある。あとは交通網さえしっかりできたら、試合がない時でもここを訪れる人が増えるはずです。

──交通のハブとなれば、山形観光の起点ともなり得るわけで、そのためにJTBが参加すると。それとは別に、このスタジアムは防災の拠点にもなるそうですね?

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