JFLも大混戦!番記者座談会LIVE(J論)【4/3(木)21時】

宇都宮徹壱ウェブマガジン

史上最高のグループステージを振り返る WMフォトギャラリー<カタール篇1/2>

 2023年最初のコンテンツは、昨年にカタールで開催された、ワールドカップ取材のフォトギャラリーである。今回はグループステージのみの取材だったが、想像を遥かに超える面白さ。まさに「史上最高」と言っても、決して過言ではなかった。そんな17日間の取材の日々を、現地で撮影した写真と共に振り返ることにしたい。

 ところで私はワールドカップを7回取材しているが、このカタール大会では初めて「一眼レフカメラを持ち込まない」決断をしている。理由は2つあって、今大会は撮影の仕事がなかったこと、そしてiPhoneのカメラ機能が格段にアップしたことである。現地に滞在中は、こちらのスマートフォン用グリップを使用していたが、小型カメラのような使い心地で大変重宝した。

 尊敬する写真家、荒木経惟さんは平成時代初期、単焦点のコンパクトカメラを好んで使用していた。当時は「なぜ素人が使うようなカメラを?」と訝しんだものだが、今ならその理由が理解できる。機動性があり、被写体との心理的距離感を縮められるコンパクトカメラによって、アラーキーは新たな世界観を獲得したのである。

 やがてフィルムからデジタルの時代となり、さらにiPhoneが登場すると、私たちの「撮影」の概念は激変した。ワールドカップ取材のアイテムに、初めてスマートフォンが加わったのは2010年の南アフリカ大会。それから12年が経過して「今大会はiPhoneのみで充分!」と判断するに至った次第である。結果、どれだけのクオリティが担保できたのか? その点についても、このフォトギャラリーからご確認いただきたい。

 開幕前日の11月19日早朝、ドーハのハマド国際空港に到着。コロナ禍の影響で3年ぶりとなる海外取材が、いきなりワールドカップというのは、内心かなりのプレッシャーであった。英語での簡単なコミュニケーションでも、極度の緊張を強いられる。海外取材モードにスイッチするには、少なくとも2〜3日はかかりそうだ。

 ホテルに荷物を預けてから最初のミッションは、取材に必要なAD(アクレディテーション)カードを入手することである。手続きはスタジアムでできると思っていたら、QNCC(カタール・ナショナル・コンベンションセンター)でしか扱っていないことが判明。慣れないメトロを乗り継いで、ようやくゲットした時は、すでに日が暮れていた。

 こちらがQNCCにあるメディアセンター。広いスペースと高い天井、そして会見の様子や試合中継をリアルタイムで伝えるモニター。仕事をする上では、何もかもが申し分ない環境である。問題は食事で、カフェもレストランも気軽に食事できるような値段ではない上に、クオリティもいまひとつ。

 過去のワールドカップで、これほど食事に苦労した大会はなかった。お金さえあれば美味いものにありつけたのだろうが、現地の物価が高騰していた上に円安というダブルパンチに遭い、自炊とファストフードのローテーションでしのぐしかなかった。写真は、カタールでの最初の夕食となった出稼ぎ労働者向けのカレーで、お値段は14QR(約530円)。

 いよいよワールドカップ開幕当日。トリビューンチケットを確保するべく、再びメディアセンターに向かう。試合を取材するには、ADカードの他に記者席に座るためのチケットも必要。前回大会までは、予約したチケットを受付のボランティアから手渡されていたが、今大会はADカードをスキャンして自動的にプリントアウトされるようになっていた。

 開幕戦の試合会場は、ドーハ市内から最も遠い、アル・バイト・スタジアム。QNCCからメディア用シャトルバスに乗車したのだが、夕方の渋滞に巻き込まれてしまい、記者席にたどり着いたときには大会マスコット「ライーブ」のお披露目に立ち会えなかった。今大会での最大の不覚!

 英語、フランス語、そしてアラビア語で開会の宣言をする、FIFAのジャンニ・インファンティーノ会長。ゼップ・ブラッター前会長も、いろいろ問題のある人物であったが、この人も実はかなりの食わせ者であると考えるようになった。次回大会は出場枠が1.5倍に広がり、北米3カ国による共同開催。果たして現会長は、ワールドカップをどこに導こうとしているのだろうか?

 ドーハ市内を中心に8会場で行われる今大会は、移動という面では観客にとっても取材者にとってもストレスのハードルが極めて低かった。ほとんどの会場はメトロとバスでアクセスが可能。しかもメトロの入り口には、その日のカードとキックオフ時間、さらには試合会場と最寄り駅が表示されていて、外国人には非常に親切だった。

 一方で非常に苦労したのが宿の確保。ホテルは1泊5万円から10万円(さらにそれ以上)という価格設定で、写真のようなコンテナを改造した仮設ホテルも3万円くらいしたという。しかも「クーラーが作動しない」とか「お湯が出ない」といった苦情も多数。私は幸い共同でアパートを借りることができたが、ホテル暮らしが続けていたら、どれだけの出費になっていただろうか?

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