宇都宮徹壱ウェブマガジン

史上最高のグループステージを振り返る WMフォトギャラリー<カタール篇2/2>

史上最高のグループステージを振り返る WMフォトギャラリー<カタール篇1/2>

 今大会を現地観戦していた人であれば、大会ボランティアの「メトロ・ディスウェイ! メトロ・ディスウェイ!」という誘導の声が、しばらく耳から離れなかったことだろう。8万8,103人がルサイルに詰めかけた、ブラジルvsセルビアの試合後も、ボランティアの見事な誘導によって、ほとんど立ち止まることなくメトロ駅までたどり着くことができた。

 ボランティアの活躍に感動する一方で、極めて残念に思えたのは3戦全敗で終わったカタール代表。エクアドル、セネガル、オランダが相手だったことを差し引いても、とてもワールドカップのレベルにふさわしい実力があったとは思えない。結果に悔しがることなく、そそくさと帰路に就く地元ファンもまたしかり。

 カタール大会は開催規模だけでなく、日程もまたコンパクト。29日間で64試合をコンプリートさせるために、グループステージのキックオフは13時、16時、19時、22時と連日4試合が組まれていた。最後の試合を取材すると、アパートに戻るのは早くても午前1時。途中、必ず出迎えてくれる猫ちゃんが、私に明日への活力を与えてくれる。

 アル・ワクラにあるアル・ジャヌーブ・スタジアム。メディア用のシャトルバスに乗り遅れ、Uberを利用したのだが、降ろされた場所から20分ほど土漠の中を歩く羽目となる。ザハ・ハディドが手掛けたスタジアムは、確かに魅力的ではあった。しかし、しかしである。歴史や文化が感じられない土地に、ドーンと最新鋭の競技施設が建てられることには、何とも言えぬ違和感を拭えなかった。

 日本の2試合目、コスタリカ戦が行われた、アフメド・ビン=アリー・スタジアムでの試合前の光景。キックオフが日本のゴールデンタイム(19時)となったため、中継局は日本サポーターを集めて、現地の盛り上がりぶりを伝えようとした。結果、関東地区の平均視聴率は42.9%を記録するも、内容的には残念なものに終わってしまった。

 スタジアムの記者席では、レジェンドたちの懐かしい顔と出会うことがある。たいていは遠巻きに眺めるだけなのだが、この人については懐かしさからつい、お声がけして撮影させていただいた。元日本代表監督のアルベルト・ザッケローニさん。今大会はFIFAの仕事で試合分析をしていたそうだが、お元気そうで何より。

 典型的なドーハの夜景。上流階級が集まるウェストベイには、色とりどりにライティングされた高層ビルが林立している。初めて見た時は圧倒されるのだが、何日も過ごしていると、ある種の「箱庭」のようにも見えてくる。砂漠の中に人工物が並んでいるだけの風景には、個人的には最後まで馴染むことができなかった。

 今大会のサポーターの割合でいうと、ヨーロッパの国々はこれまでになく少なかった。逆に中東や北アフリカからのアラブ系、そして南米諸国のサポーターが存在感を発揮していた。特にアルゼンチンのサポーターは、ロースターターのイメージが強いが、今大会は初戦で敗れたこともあってグループステージから必勝モード。小学生と思しき少年も、この熱狂ぶりである。

 今大会、私が密かに注目してたのが、現地で毎日放送されていた「パンダの勝敗予想」。カタールには2匹のパンダがいるそうだが、そのうちの1頭に2枚並んだ国旗のひとつを選んでもらい、その日の勝利チームを占う。他愛もないと言われればそれまでだが、こと日本のグループステージ3試合はすべて的中させている。

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