宇都宮徹壱ウェブマガジン

注目されないクラブワールドカップだけど ネタバレありの『前だけを見る力』後日談

 北京で開催される冬季五輪が注目される中、2月3日(現地時間)からFIFAクラブワールドカップがひっそりとUAEで開幕した。

 今大会の正式名称は「FIFA Club World Cup UAE 2021」。実はこの大会、当初は昨年12月に日本で開催されることになっていた。ところがコロナ禍での感染対策、そして観客制限による不採算を理由に、JFAは開催権を返上。12月19日、国立競技場で開催予定だったファイナルは、結果として天皇杯決勝がスライドすることとなった。

 クラブワールドカップといえば、日本で開催されるかJクラブがアジア王者になれば、それなりの注目を集めることとなる。しかし、昨年のACL優勝クラブは、サウジアラビアのアル・ヒラル。それ以外の今大会の出場クラブは、アル・アハリ(エジプト)、モンテレイ(メキシコ)、パルメイラス(ブラジル)、ASピレー(タヒチ)、チェルシー(イングランド)、そして開催国枠としてアル・ジャジーラ(UAE)となっている。

 ここで留意すべきは、オセアニア王者ではないピレーが含まれていることだ。実はコロナ禍以降、OFCチャンピオンズリーグは2年連続で開催されておらず、ニュージーランドを含むオセアニアサッカーもまた、ほぼ休眠状態が続いていた。

 そこでFIFAは当初、これまで9回の出場記録を持つ、ニュージーランドのオークランド・シティFCを「推薦」として出場させることにしていた。ところが同クラブは、大会参加の辞退を昨年末に決定する。理由は、世界中で感染拡大が続いていたオミクロン株の影響。結果、タヒチ王者のピレーに推薦枠が回ることとなった(チームの出入国に関して、タヒチはニュージーランドほど厳しい制限を設けていないようだ)。

 なぜ、こんなマニアックな話をしているのか、すでにお察しの方もいらっしゃるだろう。実は、この大会には『前だけを見る力 失明危機に陥った僕が世界一位に挑む理由』の著者、松本光平が出場することになっていた。すでにオークランド・シティにメンバー登録されており、クラブが辞退しなければ2019年大会以来の出場(当時の所属はヤンゲン・スポール=ニューカレドニア)となるはずだった。

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