宇都宮徹壱ウェブマガジン

「日本すごい!」で割を食うのは誰か? 憂うべきJFAとサッカーファンとの乖離

 本題に入る前に、まずは先週末のヨコハマ・フットボール映画祭での御礼から。10月9日と10日の2日間、リアル徹壱堂『蹴日本紀行』を販売しながら、本書に掲載された写真10点のプリントを展示した。わずか2日間、時間にして10時間での出店だったが、その間に多くの方々にご来店いただいた。とりわけコロナ禍以降、ずっとご無沙汰していた方々と再会できたのはうれしい限り。当日、お目にかかることができた皆さん、そして映画祭に関わったすべての皆さんに、この場を借りて御礼申し上げたい。

 さて、今週はやはり「運命の一戦」に触れないわけにはいくまい。12日に埼玉スタジアムで開催される、ワールドカップ・アジア最終予選、対オーストラリア戦。リアル徹壱堂でお会いしたサッカー仲間たちとも、この件についていろいろと語り合ったが、楽観している人はひとりとしていなかった。とはいえ、本稿はオーストラリア戦のキックオフ前には入稿しなければならない。よって今回は、少し角度を変えた視点で、われわれの目の前にある「危機」について考察したいと思う。

 まずは先週から今週にかけて、日本代表関連で起こった出来事を整理したい。10月8日未明、日本代表はアウエーのサウジアラビア戦で01で敗戦。「すわ、監督交代か?」との憶測も流れたが、JFAの田嶋幸三会長は「(最終予選10試合のうち)まだ3試合が終わっただけ」として、引き続き森保監督が指揮を執ることを明言した。その田嶋会長は、9日に行われたオンラインによる臨時評議員会で、次期会長予定者として評議員全会一致で信任が決議された。新しい任期は、来年3月から2年となる。

 アウェーでサウジに敗れたことも、引き続き森保監督が指揮を執ることも、そして田嶋会長が信任されることも、ある程度は想定の範囲内だったので驚きはない。私が最も驚いたのは、JFAによるこちらのツイート。正直、この画像を出すことを、よく広報は許可したものだと思った。理由については、あえて述べるまでもないだろう。「未来」とか「希望」とか「躍進」とか、そういったポジティブなイメージをこの画像から感じた人が、果たしてどれだけいたのか心配になる。

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