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幻に終わった「シティ対決」両クラブ代表が語る「現状とこれから」 大栗崇司(栃木シティFC)✕岡本佳大(福山シティFC)<2/2>

幻に終わった「シティ対決」両クラブ代表が語る「現状とこれから」 大栗崇司(栃木シティFC)✕岡本佳大(福山シティFC)<1/2>

<2/2>目次

*「今ごろはJ2にいるはずだったのですが」

*「いわきFCみたいな突破の仕方は不可能」

*栃木と広島に「第2のJクラブ」は生まれるか

■「今ごろはJ2にいるはずだったのですが」

 ──ここからは岡本代表から大栗代表へ、あるいは大栗代表から岡本代表へ、お互いに気になっていたことを直接聞いてみる時間を設けたいと思います。まずは岡本さん、いかがでしょうか?

岡本 お聞きしたいことがたくさんあるんですけれども、まずはどういう経緯からクラブ経営を決断されたのかということ。もともと大きな企業の経営をされているわけですが、どういうビジョンを持ちながらJリーグまでの道のりを捉えていらっしゃるのか、経営者目線でお話いただければと思っています。

大栗 もともと親会社(日本理化工業所)の創業者が栃木の出身で、今もそこに工場があるのですが、現地の地下水を使いながら世界的品質を保つ製品を製造しています。そうした経緯から、地域に恩返しがしたいという思いがまずありました。そんな時に栃木ウーヴァというJFLクラブがあることを知り、最初はスポンサーとして関わるようになったのですが、関東リーグに降格してしまいました。これを立て直すには、資金面だけでなく人材面でも本腰を入れていかなければならない。ということで代表に就任して、今年で4年目です。

──ここまでの3シーズンのプロセスは、当初想定していたとおりだったんでしょうか?

大栗 当初の予定では、今ごろはJ2にいるはずだったのですが(苦笑)。そんなに甘くはないなということは、よくわかりました。そうした中、本気でJ2以上を目指すのであれば、設備面でもそれに見合ったものを準備していかなければなりません。先ほど話題になったスタジアムにしても、今はまだJ3基準です。ウチの場合は、資金面は今のところ責任企業が負担している状況ですが、今後はクラブ自身がお金を稼げるような仕組みづくりをしていかなければならない。そこの部分が、今後に向けた課題ですね。

岡本 それに紐づいての質問ですが、栃木シティさんがJクラブになった頃、Jリーグはどのような環境になっているとお考えでしょうか?

大栗 J3は今のところ降格がありませんが、近い将来、J3からJFLに降格するシステムが導入されるという報道がありましたよね。成績だけでなく経営的にも厳しいクラブだと、JFLからさらに地域リーグに落ちる可能性もあるわけで、チーム力や経営力が弱いクラブはどんどん淘汰されていくのではないかと思っています。一方で、クラブに投資するようなIT企業などの会社は、今後も増えていく可能性もあります。そうなってくると、純粋な意味での市民クラブは、少なくなっていくかもしれませんね。

岡本 なるほど。ちなみに栃木シティさんの場合、どのくらいの規模や組織でクラブ運営をされているのでしょうか?

大栗 チームに関しては、GMがいて監督とスタッフがいて、というのはJクラブと同じです。それ以外では、クラブ事業本部といって、営業、運営、広報、グッズといった担当部署があって、スタッフの数は8人から9人です。逆に僕から質問ですが、福山さんはどれくらいの営業収益なんでしょうか?

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