宇都宮徹壱ウェブマガジン

作家である僕がタクシードライバーになった理由 中村慎太郎(OWL magazine代表)<2/2>

作家である僕がタクシードライバーになった理由 中村慎太郎(OWL magazine代表)<1/2>

<2/2>目次

OWLがコロナ禍を乗り切ることができた理由

*サッカー文化を紡いでいくべきはサポーター

*まずは月500円のオンラインコミュニティへ

OWLがコロナ禍を乗り切ることができた理由

──ここからは、慎太郎さんをタクシードライバーに導くきっかけとなった、OWL magazineの話をお伺いしたいと思います。私も月2回の執筆を担当していますけれど、緊急事態宣言の間は、OWLのテーマである「旅とフットボール」がどちらも封じられていたわけですよね。この間、編集部ではどのようなやり取りがあったんでしょうか?

中村 一言で言えば、うまく対策が取れていませんでした。 そこは今まさに、改革が求められている部分なんですが、要するに危機対応が遅かったんです。実はそれ以前から、毎月記事を出すというタスクは何とかこなせるのですが、プラスアルファができないという問題をずっと抱えていました。こういう時こそ、何かプラスアルファをするべきだったんですが、それができなかった。もともとオフシーズンで、購読者が減ってきたところでの今回のコロナでしたから、新しく生まれ変わらないといけないと思っていました。

──それとは別で、いろいろとタイミング的に厳しいものがありましたよね。前編集長の澤野雅彦さんは、転職したばかりでリモートワークに慣れるのが大変だったみたいですし、慎太郎さんもタクシードライバーになる研修中だったし。

中村 それこそメンバーの中には、医療関係者もいましたし。宇都宮さんは違いますが、OWLのメンバーは基本的に兼業ライターなので、今回のような異常事態での弱さは感じました。その一方で、OWLならではの強さも実感できたんです。サッカー専門誌は、試合がないことで、軒並み苦しんでいたじゃないですか。でもOWLに関しては、試合の速報やレポートは必要ないので、そういう意味で原稿は何とかなったんですよね。

──私自身もいろいろ知恵を絞って、何とか乗り切りましたけど(苦笑)、今回のコロナ禍をOWLはよくぞ切り抜けたと思います。

中村 確かにリアルな旅記事は出せなかったんですけど、実はそれがOWL magazineのすべてではなかったわけです。であるならば「旅とフットボール」というところから、もう少し間口を広げるようなリブランディングをしてもいいのかなって、考えるようになりました。要するに、まずは新しいことをどんどん始めてみようと。

──そのひとつが、新編集長となる川崎サポの大澤あすかさんと、ラーメン大好き鹿島サポの五十嵐メイさんによるYouTube女子サポ番組ですね?

中村 そうです! 「女子サポオンライン飲み会」ですね。もともとOWLではYouTubeチャンネルを持っていたんですけど、あまり女性サッカーファンにアプローチできていなかったんです。そこで、あすかさんとメイさんのコンビでスタートさせたんですが、番組以外でもふたりの間で、びっくりするような企画が生まれていったんです。実はこれこそが、僕が望んでいたことだったんですよ。OWLに関わる書き手が、いろいろと絡んでいくことで、どんどん自発的なアイデアが生まれる傾向が加速していきました。

──そういえば、ネットラジオも始めましたよね?

中村stand.fm』というところで『OWL FC(仮)』というのをテストで始めました。いくつか走らせているもののひとつに『コンスレンスつじーのお悩み相談室』というのがあります。「コンスレンテ」というのは、イタリア語でカウンセラーのことなんですが、天然ボケであるがゆえに、妙に癖になるチャンネルなんです(笑)。

(残り 3897文字/全文: 5452文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

日本サッカーの全てがここに。【新登場】タグマ!サッカーパック

会員の方は、ログインしてください。

1 2 3
« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ