今こそ語ろう「正しいnoteの使い方」石井和裕✕中村慎太郎✕河内一馬<1/2>
ここ最近、noteというコンテンツ・プラットフォームが気になっている。気になる理由は2つ。このところ私の周囲で、noteによる発信を始めた同業者が増えていること。そしてnoteにアップされているコンテンツに「ハズレが少ない」こと。サッカー以外のテーマでも、非常に説得力があって読ませる内容のものが多く、あまたあるブログと比べると玉石混交の度合いが極めて少ないのが特徴である。
一方でnoteは、書き手のブランディングに寄与する側面があり、さらには100円から1000円の課金を行うこともできる。ブログともSNSとも異なる可能性を秘めたnoteの普及は、ウェブメディアのマネタイズという課題にも変化を与え、書き手にとっても読み手にとっても新たな福音となる可能性も秘めている。そしてそれは、私どもが禄を食むこの業界にも、何らかの影響を与えそうな気がしてならない。
そんなわけで今回は、すでにnoteで発信をしている方々にお声がけして、noteの特長や可能性について語り合っていただくことにした。出席者は『malicia(マリーシア)web』を運営する石井和裕さん、その石井さんにnoteを勧めた作家の中村慎太郎さん。さらに、遠くアルゼンチンからnoteやTwitterでのユニークな情報発信をしている河内一馬さんにも、Skypeで参加していただいた。
果たしてnoteとブログは、何が違うのか? プラットフォームとしてのユーザビリティはどうなのか? そしてnoteでの課金は、書き手にとっての頼れる収入源となり得るのか? これからnoteを始めようとしている方には、まさに必読の内容となっている。(収録日:2018年9月20日@東京)
<目次>
*noteが「ハイソサエティに受ける」理由とは?
*noteはスポーツビジネスに親和性がある
*「ハリル解任」と「トキ消費」がバズった理由
*なぜ『芸術としてのサッカー論』だったのか?
*課金された情報はストックとして残っていく
*今後はサッカーライターの大道芸人化が進む?
■noteが「ハイソサエティに受ける」理由とは?
──さっそくですが、おふたりのサッカー観戦歴とnoteを始めたきっかけについて、お話しいただきたいと思います。まずは石井さんから。
石井 僕は84年から当時の日産、現在の横浜F・マリノスを追いかけながら、日本のサポーターの歴史や行動形態についての調査を電子書籍にまとめて発表したりしています。noteについては、隣にいる慎太郎さんから勧められて始めたのがきっかけですね。
中村 僕は初めて味スタでFC東京の試合を観戦したのが2013年です。当時はにわか扱いされましたが、もう5年になりました(笑)。Jリーグを初観戦した時のことをブログ記事にしたら、これが見事にバズりました。それを契機にして、『サポーターをめぐる冒険』という本を出版し、作家を名乗るようになりました。何度も直接感謝していますが、写真家・ノンフィクションライターとして生きていく決意をした宇都宮さんの生き方を大変参考にさせて頂いております(笑)。
──恐縮です(笑)。で、noteに関しては?
中村 noteに関してですが、ヴァイッド・ハリルホジッチの解任について書いたら、これまたすごくバズって、それがニコ生の実況解説をするきっかけになりました。
──なるほど。ところで石井さんは、もともと『malicia web』を運営されているわけですが、スタートはいつからだったんでしょうか?
石井 1995年だから、ホームページでのスタートでしたね。そもそも、マリノスのオフィシャルサイトがなかなか立ち上がらないことに業を煮やして作ったというのが、『malicia web』を始めたきっかけでした。
──慎太郎さんは『はとのす』というブログを運営されていて、Jリーグ初観戦のバズった記事はこちらでアップされたものでした。なぜブログがあるのに、noteでも書くようになったのでしょうか。
中村 noteに書くメリットはいろいろあるんですが、まずレイアウトが非常に優れていること。ブログだとどうしても雑然としてしまって、例えて言うとスポーツ新聞や週刊誌のようになります。noteは無駄なものがなくスタイリッシュに見えるので、全国紙の新聞のような整然とした見え方になりますね。内容的にもハイソサエティに受けるものが多いようです。
石井 ハイソサエティというのは、具体的にどういうこと?
中村 これはnote全体でフォロワー数が4位という最所あさみさんが『note creator meetup』というnoteの公式イベントで、小ネタとして冗談めかして話されていたのですが、noteでバズるネタというのは、早稲田・慶應ネタとリクルートネタらしいです。早慶ネタがバズるというのは、それくらいの知的レベルの人たちが読んでいる、ということですよ。逆にブログとかTwitterをはじめとするSNSは、あまり知的ではない書き込みも目立ちますよね。低レベルな政治的ツイートをRTしてばかりの人のアカウントとか、見ていて辟易することもあるじゃないですか。
──つまりnoteは、ブログと違って見え方がシンプルかつハイソサエティな雰囲気があって、なおかつそういう読者がついてきているということですね?
中村 あえて言えば、ブログは大黒屋とかドン・キホーテみたいな量販店のイメージ。それに対してnoteはアップルストアなんですよね。洗練されていて、読みたいものがぱっと読める。フォローしている書き手が更新したら、すぐに通知が来ますし。
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