宇都宮徹壱ウェブマガジン

遠くブルージュの地から長崎のJ1昇格を想う 単なる「美談」ではないクラブの12年の歩み

 日本代表の欧州遠征取材で、ベルギー北部のブルージュに来ている。現地での取材については、スポナビでのコラムをはじめ当WMでもフォトギャラリーでお伝えする予定だが、一方で滞在中に気になっていたのが日本のサッカー界の動きである。J1は代表戦の間は中断期間となっているが、J2以下のカテゴリーは先週末から佳境に入っている。今回はV・ファーレン長崎のJ1昇格について、個人的に思うところを記すことにしたい。

 11日土曜日の16時の時点で、J2は3位の名古屋グランパスが0-3で敗れ、4位のアビスパ福岡が1-1で引き分けていた。この結果、両者の順位は入れ替わり、2位の長崎を追い抜くことが難しい情勢となる。この日、長崎はホームで19時よりカマタマーレ讃岐と対戦。長崎が3ポイントを積み重ねれば2位が確定、ストレートでのJ1昇格が決まる。そして収容人員を超える2万2407人がスタンドで見守る中、長崎は3-1で勝利。見事に初のJ1昇格を決めた。

 長崎のJ1昇格は、個人的にも感慨深い。今年の夏にスポナビの『J2・J3漫遊記』で現地取材した際、高木琢也監督の手腕高田明新社長の決断について、当事者たちに非常に印象深い取材をさせていただいたからだ。だがそれ以上に長崎に対しては、2005年の九州リーグ時代を皮切りに折々の場面で取材してきた経験があるだけに、感慨もひとしおである。

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