宇都宮徹壱ウェブマガジン

村井チェアマンの決断を心から支持する理由 優先されるべきは「国策」よりも国民の安全

 2020年Jリーグとルヴァンカップの開催延期が決まった。村井満チェアマンの会見が行われたのは、2月25日の17時15分から。会見の模様はこちらで公開したので、ぜひWM会員ではない方もご覧いただきたい。新形コロナウイルスがJリーグに与える影響については、2月14日のJリーグキックオフカンファレンスの時点で、開催延期の懸念を感じていた。残念ながら懸念は的中してしまったわけだが、あらためて現時点で思うところを記したい。

 今回のJリーグの決定については、心からの支持を表明する。と同時に「ホッとしている」というのが、私自身の偽らざる感想である。今年の開幕戦は、22日の柏レイソル対北海道コンサドーレ札幌のゲームを取材した。2020年のJリーグが無事に開幕したことには、密やかな安堵感を覚えたものの、例年のように晴れがましく幸せな気分に浸ることはできなかった。運営する側も観戦する側も、新型コロナ対策に心を砕くあまり、どうしても高揚感よりも悲壮感のほうに視線が向いてしまったからだ。

 2月21日から23日にかけて、J1リーグ第1節の9試合では17万2001人ものファン・サポーターが集まった。昨年の第1節が23万5144人。前年比で6万人以上も減少したのは、もちろん新型コロナの影響だろう。それでも今後、毎週20万人以上が集まる興行を続けていたら、そこから感染者が出てくるリスクは極めて高いと言わざるを得ない。東京オリパラ開催のために、さながらJリーグファンが人質になるような状況は、絶対に避けるべきだと強く感じていた。

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