宇都宮徹壱ウェブマガジン

【無料記事】画質の向上は? 電話でのサポートは? プレステは? DAZNの「中の人」にじっくり話を聞いてきた!<1/2>

 今週はかねてからのお約束どおり、先月に当WM会員の皆さまからいただいたアンケートをもとに、DAZNの「中の人」へのインタビューを公開することにしたい。当企画を具体化すべく動き出したのが今年の1月。いくつかツテを頼って、ようやくDAZN側とコンタクトがとれたのが2月下旬。3月に取材内容と掲載に関して大筋で合意がまとまり、4月14日にインタビュー取材を実施。そして今回の掲載と相成った。

 今回のインタビューに応じていただいたのは、PRマネージャーの中野朋子さん。他にDAZNとパフォーム両社から3名の方にご同席いただいたのだが、全員が女性だったところに日本のスポーツおよび放送業界にはない「新しさ」が感じられた。一方、取材するWM側は、私の他に『タグマ!』主宰の村田要さん、そしてライターのニート鈴木さんも参加。今回は誰が何を聞いたのかがわかるように、カッコ内に質問者の名前を入れておいた。

 取材時間はジャスト1時間。しかも先方がどうしても開示できない情報もあり、いただいた質問のすべてに答えていただけたわけではない。それでも、皆さんからのご質問やご意見はすべて提出してあり、広報スタッフのみならず開発チームも情報は共有されていると聞いている。また中野さん自身、われわれからの答えにくい質問に対して、最後まで真摯に対応していただいた。今回の取材実現にご協力いただいた皆さんも含めて、この場を借りて深く御礼申し上げたい。(取材日:2017年4月14日@東京)

■画質を上げるための2つの試み

――今日はよろしくお願いします。すでにWM会員からのアンケートはご覧いただいているかと思いますが、今季から始まったDAZNさんのJリーグ中継やコンテンツについては、わりとポジティブに評価する意見は少なくなかったと思います。たとえば「J3も全試合を見せてくれる」とか「カメラ台数が多いのがいい」などですね。DAZNさんとしては、どんな評価がうれしく感じられたでしょうか?(宇都宮)

中野 DAZNは放映サービスではあるものの、コンテンツがすべてです。弊社の(ジェームズ・)ラシュトンCEOは「コンテンツ・イズ・キング」といつも言っているので、プレビューショーやレビューショーなども含めた番組を楽しんでいただけていることが非常にうれしいところです。今後も、サッカーの臨場感やピッチ上の熱を伝えることで、Jリーグをはじめとするサッカーの魅力を広く伝えていきたいと思っております。

――その一方で、「改善すべき点」として圧倒的に多かったのが「画質を何とかしてほしい」というものでした。これについては、どのような改善策をお考えでしょうか?(宇都宮)

中野 画質では大きく2つあって、1つはフレームレート、もう1つがデータの容量なんですね。この2つは相反するところで、どうしてもフレームレートを上げるとデータの容量が上がってしまうんです。

――DAZNさんはヨーロッパのシステムであるPALを採用しているので、フレームレートは25だったと思うのですが、それを日本が採用しているNTSCに合わせて30にするということでしょうか?(宇都宮)

中野 具体的な数字は現時点では申し上げられないのですが、フレームレートを上げる開発は検討しています。ただし、そうなると容量がグンと増えるので、お客さまにより負荷がかかってしまうことが予想されます。その対策として、データをより圧縮した状態で発信するような技術も同時に検討しています。

――圧縮についてですが、やはりユーザーのネット環境に左右される部分があるのでしょうか?(宇都宮)

中野 そうなんです。サポートセンターで、そのようなことをお伝えすると「言い訳じゃないか」というようなご意見もいただきますが、OTT(オーバー・ザ・トップ)という動画配信サービスの場合、インターネットを介しているためどうしても環境に影響されてしまいます。それを理解した上で、より少ない容量でも配信できるような技術をわれわれのほうでも取り入れようとしております。

――もちろん、この2カ月の間でもいろいろ改善されていると思うんです。それに今後3年とか5年のうちに、日本のネット環境もさらに向上して、より快適な視聴も可能になると思うんですよ。ただ、やっぱりDAZNさんの中継ってPCやデバイスで観るのが前提で、TVで観たいという視聴者のことをどれだけ考えているのかという疑念は残ります。(宇都宮)

中野 今後は、インターネットの環境に左右されにくいサービスを提供していくための開発を進める必要があると考えています。インターネットが、この5年10年でかなり進化している中、今後もさらに良くなっていくと思います。ただ、今の環境により合ったものを提供していくために、先ほど申し上げましたように、フレームレートとデータの圧縮を同時に検討しているところです。

――ユーザーが任意で画質を選択できるようにしてほしいという声が、けっこう挙がっていたと思うんですけど。(鈴木)

中野 今は自動で、たとえばiPhoneをお使いであれば基本的には720ピクセルで、TVだったらフルHDの1080(ピクセル)でお送りするようになっています。ただし今後は、お客さまに選択していただくような機能も検討はしております。

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