2100億円でJリーグはどう変わるのか? 日本サッカー界の「来るべき世界」を考える
7月20日、Jリーグは動画配信大手の英パフォーム・グループが提供するライブストリーミングサービス、DAZN(ダ・ゾーン)と放映権契約を締結することを発表。その日、日本のサッカー界隈はネットを中心にこの話題でもちきりであった。
残念ながら私は、この会見の場に出席できなかった。私だけでなく、少なからずの同業者が「なぜ、このタイミング?」と思ったことだろう。何しろJFAハウスで会見が行われたのは、10時30分。リリースが出たのは当日の午前6時である。普段からJFAハウスに張り付いている記者ならともかく、フリーランスの記者がメールに気づいて、その日の予定をリスケするのはかなりの困難が伴う。余談ながら、日経新聞のウェブ版が午前1時36分にこのニュースを報じていた。おそらく、これを受けての緊急会見だったと思われる。(参照)
すでに報じられているとおり、今回のDAZNとの契約は2017年シーズンから2026年シーズンまでの10年間で、契約金の総額は2100億円。日本のスポーツ界では、なかなかお目にかかることのなかった数字だ(しいて挙げるなら、新国立競技場のザハ案での建設費が2520億円と報じられたことを思い出す)。いずれにせよ、これだけ巨額な放映権料というものは、Jリーグはもちろん日本のスポーツ界にとっても初めてのことだ。
思えばスカイスポーツの独占放映権獲得が契機となり、イングランドのプレミアリーグが飛躍的な発展を遂げたことは周知のとおり。現在のプレミアリーグの放映権は、1シーズンで約3800億円ということなので、欧州スタンダードで考えると大した金額ではないのかもしれない(参照)。それでも2100億円という契約金が、黎明期のプレミアリーグにスカイスポーツが与えたインパクトと同程度(あるいはそれ以上)となるのは、間違いないものと思われる。
では今後、どういった変化がJリーグに起こるのか? まだ不確定な要素が多いものの、現時点で考えられる「来るべき世界」について、いささかの妄想も交えながら予想してみるのは決して無駄なことではあるまい。以下、村井満Jリーグチェアマンの会見全文、そして何人かの同業者とのディスカッションをもとに、私なりの予想を記すことにしたい。
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