【現地取材】なかなか報道されない海外組はどんな様子なのか。スイスで奮闘する瀬古歩夢に会ってきた

アウェイに駆け付けたファンに丁寧なサインをする瀬古歩夢
▼ アクティブな取材に光を
最近ではドイツのブンデスリーガでさえ現地からの確かな取材に紐づく記事がほとんどなくなっている。欧州トップ5へ入るリーグではないところで戦う選手の詳細情報はさらに少ない。だが、報道が多くされようと、ほとんどされなかろうと、選手も指導者もみんな現地で毎日戦っている事実は変わらないではないか。
PV数が期待できないから。経費分を出す余裕はないから。
メディア側にも言い分があるのはわかる。それに僕にしてもコンスタントに全選手の元へ足を運ぶというのはとてもじゃないけどできない。それでも、1シーズンに1回でもいいから、試合を観に行って、現地の様子をしっかりと見て、感じて、そして彼らと話をする機会を持ちたいと思っている。そしてそんな彼らを取材した記事をもっと精力的に取り上げてほしいと願っている。難しいのはわかるけど、だからアクティブに動くメディアが増えてほしいではないか。
そんなわけで今回は瀬古歩夢を取り上げてみたいと思う。10月と11月の代表シリーズで久しぶりに日本代表に招集され健在ぶりをアピールした瀬古は、スイスリーグのグラスホッパー・チューリッヒに2022年1月に移籍。あれからちょうど2年が過ぎようとしている。
ここまでリーグ戦で80試合に出場。着実に経験を積み重ねている一方で、グラスホッパーはスイスリーグで苦しみ続けている。加入した22-23シーズンこそ川辺駿らの活躍もあり7位でフィニッシュ。UEFAカンファレンスリーグへの出場争いを最後まで演じた。
ただ翌シーズンは川辺がベルギーリーグのスタンダードリエージュへ、そして原輝騎が清水エスパルスへ復帰したりと主力が激減したことが大きく影響し、2部2位との入れ替え戦に回る下から2番目の順位で終えている。
最終的に残留を果たしたものの、今季も18節終了時で勝ち点15の12チーム中11位。ただ監督交代後、少し上昇の機運を感じさせる。18節では強豪バーゼルにアウェイながら1-0で勝利し、直近4戦負けなし(1勝3分)。厳しいシーズンなのは変わらないが、ウィンターブレイク明けの巻き返しを期待したいところだ。
ちなみにグラスホッパーの新監督に就任したトーマス・オラルは僕がドイツサッカー協会A級指導者ライセンスを所得した時の同期。
そんなグラスホッパーで奮闘する瀬古の取材に最後に行ったのは昨季最終節24年の5月。ローザンヌで行われたアウェイ戦後に、グラウンド脇にあったミックスゾーンで久しぶりに話をすることができたのだ。
ただ7カ月もたった今アップというのは明らかに遅い。瀬古取材をどこかの既存メディアでアップしようとしたものの、なかなか掲載先が見つからず、ラボでの方向性に少し迷っていたこともあり、結果としてここまで遅れてしまった。
それでもスイスの地で奮闘する瀬古の様子を感じてもらえたら、幸いだ。

2024年5月に訪れたローザンヌ対グラスホッパー
▼ 瀬古歩夢はどんな様子なのか?
取材で訪れた日、ローザンヌのベテラン選手が引退するということでセレモニーが試合後に行われた。ライトは絞られ、真っ暗になる中、ロッカーへ向かう瀬古をなんとかみつけて声をかけると、向こうもこちらに気づいて足を運んでくれた。
—-真っ暗で見つからないかと思った。
「いや、全然わかんなかったです」
—-最近の調子はどうですか?
「どうですか?(笑)。いや、厳しい状況ですけど、残り2試合勝って残るしかないんで。それだけですね」
—-入れ替え戦がこのあと2試合あるわけだけど、こうした状況になるかもってシーズン前にイメージしたりはしてました?
「いや、全然最初イメージはしてなかったですけど。シーズンの始まりからなかなか勝てなくて。ちょっと難しい展開になるかなと思ってたんですけど、シーズン中旬でどれだけ盛り返せるかなと思ってたものの、そうはいかなくて。勝ってもその次の試合で負けたりっていう上下が激しかったシーズンだったと思います」
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