中野吉之伴フッスバルラボ

【きちルポ】未曾有の年頭に僕がいま生きている意味を考えてみた

5年ぶりの日本での年越し。

年越しそばを食べ、紅白歌合戦を楽しみ、ゆく年くる年を見ながら厳かに家族で新年を迎えることができた。のんびりと新年を迎え、お雑煮を食べ、初もうでに出かけ、おみくじを引き、お守りを買った。

今年はどんな年になるのだろう?
どんなチャレンジをしようかな?

そんなワクワクした思いが一瞬で吹き飛んだ。地震警報がスマホを鳴らしまくる。強烈な横揺れ。長い。どのくらいの時間揺れていただろう。ドイツでは地震が基本ないので25年ぶりだ。ドイツ生まれ、ドイツ育ちの子どもたちには初めてのこと。

ようやく揺れが収まり、静寂がしばらく続いた後、情報収集を始めた。テレビの地震速報には震度とともに自分が今いる地域の名も現れる。僕らがそのときいた場所は棚からものが崩れ落ちたり、どこかが壊れたりという被害はなく、余震もほとんどないまま過ごすことができた。だが、テレビやスマホから飛び込んでくる情報が事の重大さを感じさせる。

翌日からは被災地の詳細が目に飛び込んでくる。ショックだ。怖い。なんでという思いが何度も浮かび上がっては消える。テレビにもスマホにも止むことなく地震速報が続く。自衛隊が現場に急行しようとする映像をみてただただ祈る。

地震のことだけでも苦しみと悲しみが大きいのに、飛行機事故のニュースが続けて襲い掛かってきた。現実のものとは思えない、でもそうなのだと受け入れなければならない映像と情報。SNSで拡散されてくる事故時の様子はあまりにも衝撃的過ぎて、心のキャパシティがいっぱいになってしまう。

もっとひどい惨事になってもおかしくないほどの事故レベルだけど、乗客・乗員の全員が脱出できたというのは本当にすごいことだと思う。海上保安庁の亡くなった隊員の方々へはただただご冥福をお祈りするばかりだ。

生きていればいろんなことが起こるというし、実際にそうなんだろうけど、でもあまりにあまりすぎないだろうか。暗い気持ちばかりが押し寄せてくる。

でも、それでも、僕らは生きている。
そして生きていくことと向き合い続けなきゃいけない。

苦しいけど、
哀しいけど、
やるせないけど、

それでもちょっとでも前を向いて歩いていく。自分がやれることをやれるように日々頑張り続ける。それが生きている僕らにできる何よりのことなのだ。

被災で亡くなられた方々に哀悼の意を表すとともに、そのご遺族には心からのお悔やみを申し上げます。被災地でいまも不安に暮らす方々に、救いを待っている方々に、少しでも早く平穏が訪れますように心からお祈り申し上げます。

(残り 1109文字/全文: 2161文字)

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