【きちルポ】中田浩二や柿谷曜一朗がプレーしていたスイスの強豪バーゼルが降格危機?!かつてのCL常連クラブに何が起こった?②
▼ 自浄機関の大切さ
スイストップクラブだったFCバーゼルが今季残留争い真っ只中にいる理由をまとめている。後編の今回は2019年から今に至るまでの迷走劇になる。
どんなチームでも、どんなクラブでも、勝ち続けているとどこかでゆるみが出てくる。どこかでおごりが出てくる。本人たちにはそんなつもりはなくても、どこかで油断が顔を覗かす。
「自分達は努力を重ねている」と思い込んでしまう。
努力をしているのは自分達だけではない。でもその事実になかなか気づけない。少し調子を崩していると勘違いをして、本質的な問題と向き合わず、「自分達ならそのうちまたうまくいく」と高をくくってしまう。
かつてはブンデスリーガ1部の常連だったのに、いまや5-6部リーグにまで落ち込んでしまったクラブだってたくさんあるのだ。
踏み外した足を支えてくれるものは以外とない。
空気の入れ替えは必要だけど、クラブとしての在り方を伝える存在は絶対に外してはならない。クラブDNAは大切だけど、現状との照らし合わせは欠かせない。
だから組織の現状を明確に、客観的に、現実的に、専門的に精査できる機関がなければならないし、それが健全に機能しなければならないのだ。どこかで自浄できる仕組みになっていないとダメなのだ。
これはスポーツクラブにだけ限った話ではなく、一般企業でも、行政でも、学校現場でも同様のことだと思われる。
指導者や運営者の不祥事はなぜ起こるのか。
なあなあにしていいところとダメなところの線引きが明確に引けない集団のままだと、多かれ少なかれ問題を抱えることになる。
僕らは学ばなければならない。
学び続けなければならない。
サッカーだけではなく、様々なことを。
様々なことのすべてのベースにある本質的なことを。
▼ バーゼルの混乱は続く
2019年ルディ・ツビンテンがSDに就任。ツビンデンはチーフスカウトとしてクラブで長年関わっていた人物だ。南米へのネットワークが強みだった彼は、それを最大限生かすべく、「南米から将来性豊かな選手を数多く獲得し、その選手をトップクラブへ高値で売却」というコンセプトを推し出そうとした。
なかなか面白い視点だと思われるかもしれない。実際に南米出身選手が欧州で大成した例は少なくはない。そこにフォーカスしてネットワークを作るというのは一つのアイディアだろう。
だが、当時のバーゼルには5人の南米選手が所属していたが、誰も大成しなかった。
いろんな理由があるが、その中の一つに天候があげられている。スイスの冬は寒い。場所によっては雪が半端なく降り積もる。
しかも暗い。南米で育った若手選手がそうした太陽がない環境で自分らしさを保ちながら、クオリティを発揮するのは極めて難しい。
だからこそ彼らが順応し、実力を発揮できるように、時間をかけて親身にサポートしなければなかったはず。
1年で結果を出せというのは酷すぎる。だがツビンデンもクラブ内の権力争いに巻き込まれ、1年で離れることになってしまった。混乱は続く。
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