中野吉之伴フッスバルラボ

【対談】「日本のサッカーは大人が楽しもうとして、大人が仕切ろうとしていることが多いから、子どもたちがかわいそう」

▼ 滝さんとの対談第2弾

先日、タイリーグで指揮を執った初の日本人指導者であり、2019年12月には前年度タイ・プレミアリーグ優勝クラブでのAFCチャンピオンズリーグにも出場する強豪クラブチェンライ・ユナイテッドに監督を務めた滝雅美さんをお招きしてWEB対談を行いました。

現在は国立大阪大学サッカー部で監督をしている滝さんとは以前から親交があるのですが、最初にお会いしたのはドイツ。日本サッカー協会主催Jリーグアカデミーダイレクター研修グループの一員として滝さんがドイツに来られた時に知り合いました。

1週間ほどのプログラムをこちらですべてコーディネートしてアテンドとして一緒に回ったのですが、その際にSCフライブルク、ホッフェンハイムといったブンデスリーガのトップレベルの施設を見て「やっぱりすごいね」で終わるのはもったいないと思い、そのほかに僕が所属していたフライブルガーFCの育成コーディネーターに話をしてもらったり(当時の育成コーディネーターはとてもビジョンのしっかりした人で僕のよき理解者でした)、地域サッカー協会スタッフにレクチャーしてもら多り、グラスルーツの現場を見てもらおうとSVホッホドルフの施設を見て、小学校低学年の大会を視察してもらってと、包括的な研修プログラムを組んで、幅広く、奥深くドイツサッカーを見てもらいました。

今思い出してもとても学び多きプログラムだったなと思っています。

さて、滝さんとは後日その時のことについて話をしたことがあったので、今回はそのあたりのやり取りをご紹介します。

グラスルーツにおけるまでのサッカー環境と、育成に対する理解が整っていることが、子供たちの成長にどのようにポジティブに作用するのか。

そのあたりを感じてもらえたらうれしいです。

▼ 子どもがサッカーと向き合えるようになるために

—- 滝さん、ドイツでの研修プログラムで何が特に思い出に残ってます?

 ホッホドルフでしたっけ、グラスルーツのクラブ?あそこがすごく印象残っている。結構うまい子がいたり、ぽっちゃりした子が結構動けたり、女の子がすごい頑張ってたり。あと、試合のあとに黒人の子が自分のプレーに納得いかなくて拗ねて泣いちゃってたとか。

—- あの子、あの後すごい成長して。あの時すでにいい選手だったけど、気持ちにまだまだばらつきがあったんですね。U8だからそれも普通なんですけど、僕もいろいろ彼とは話すようにして、それがうまく影響してかはわからないですけど、精神的にすごく落ち着いてきて、次男チームで欠かせない存在に。

監督が怒鳴ってもそれを気にせず聞き流すすべを身に着けたようで、ちゃんとサッカーをすることができるんですよね。クリアって叫んでる監督の近くで、すってボールをうまく運んで逆サイドにパスを通したり。こいつ、大物だなって思わせてくれています。

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