【EL】フランクフルトファンが作り出した最高の雰囲気。そして両軍指揮官がみせた駆け引き
▼ ファンが作り上げたサッカーの祭典
ヨーロッパリーグといえばフランクフルト。
これに関してはドイツにおけるビックエンターテイメントとして確かな価値を勝ち取っている。
今シーズンも準々決勝まで進出。対戦相手はバルセロナ。ドイツにおけるコロナ対策が緩和されたことでファーストレグのホーム戦では48000人超満員となった。
ボルテージが試合前からすごく高い。ファンの喜びが空気をピリピリとさせる。それこそ《ヨーロッパリーグはチャンピオンズリーグの下にあるセカンドリーグ》みたいな空気を変えたのはフランクフルトだと僕は思っている。
ファンが全力でクラブの躍進をサポート。準決勝まで進出した17-18シーズンはすでに語り草だ。どんなアウェー戦にも1万人以上のファンが帯同する。全精力でこの環境を楽しんでいた。そんなファンが作り出したスタジアムの雰囲気は選手が「この舞台に立ちたい!」と思いたくなるほどのものがあった。
この大会には夢がある。ファンも関係者もそれを肌で感じているはず。18-19シーズンの準決勝ではチェルシー相手に激戦を提供。最後はPK戦の末に涙をのんだわけだが、そのチェルシーが昨シーズンチャンピオンズリーグで優勝。
今回の相手はバルセロナ。自他ともに認める世界的なクラブだ。僕がバルセロナを最後に見たのは14-15シーズンのCL決勝で、場所はベルリン。あの時のスタジアムの雰囲気は今でもはっきりと思いだせるほど素晴らしいものがあった。確かにいまは過渡期で、世代交代を進めている段階。世界を席巻していたころと比べたら最高レベルにはまだ到達していない。それでもバルセロナだ。フランクフルトからしたらこれ以上ない対戦相手だろう。
試合前、ゴール裏には久しぶりにコレオが。先月、亡くなられたクラブのレジェンであるユルゲン・グラボウスキを偲ぶコレオ。
《AURERSTEHEN-WERDEN-NUR-GÖTTER》
《よみがえるのは神々だけ》というメッセージには、クラブにとってグラボウスキはレジェンドを超えて神となり、神となった彼が、ここへまた復活を果たすというニュアンスだと僕は解釈している。この日、フランクフルトはゴール裏を《グラボウスキスタンド》への改名を発表している。フランクフルトのゴール裏は《神々の守りし場所》となったのだ。
そんなファンからのサポートを受けたフランクフルトは、試合開始から素晴らしいプレーを見せてくれた。4-3-3のバルセロナに対して、フランクフルトは3-4-3。オリバー・グラスナー監督は守備において最初にケアすべきポイントをボランチのブスケッツに絞っているのがよく見てとれた。
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