中野吉之伴フッスバルラボ

【指導論】サッカーの楽しさ・素晴らしさの根本には《1人ではできないことがみんなとならできるから》があるのではないだろうか

「子どもたちに指導者としてかかわるうえで必要な要素とは何だろう。可能な限りわかりやすく解説していきたい」の第3弾

▼ サッカーの魅力ってなんだろう?

サッカーがしたーい!

そう思ってグラウンドに来る子どもたち。はじけるような笑顔で集まってくるとこちらもワクワクしてくる。「サッカーって楽しんだよ。サッカーって楽しいよね」と言いながら、みんなとハグしたくなる。

サッカーってなんで楽しいんだろう?

できることなら、サッカーの魅力をできるだけ多くの人たちに味わって、とりこになってほしい。けどそれこそ、「えー?サッカーってそんな楽しい?」と思いながら練習にきている子だっているかもしれない。「お父さんとお母さんが体動かした方がいいから」という理由で来ている子だって結構いる。つまらなくはないけど、でもまだそこまで。でも、それが別に悪いわけなんかじゃない。

やる気というのは内的欲求と外的刺激のバランスで生まれてくる。自分の中から出てくる「あ、楽しそうだな」「僕も一緒にやりたいな」「あの選手みたいなプレーがしたいな」という欲求があるときに、「ここでなら体を動かすことができるよ」「ここならサッカーをすることができるよ」という刺激とがかみ合うことで、やる気=モチベーションはあがってくる。

内的欲求がない時に外的刺激を与えても、それは圧力や負荷にしかならない。内的欲求があるときに外的刺激がないと、その欲求もしぼんでいってしまう。

じゃあ僕ら指導者や保護者はどうしたらいいんだろう?

内的欲求をポジティブな方向へ引っぱり出せるように、外的刺激をバランスよく意識的に、そして無意識的に感じられる環境を作り出すことが大事だと思うのだ。

「練習が終わって家に帰るときに、練習前よりサッカーが少しでも好きになって帰ってもらいたい」

元Jリーガーで指導者仲間の浦本雅志さんがそんな風に話していたことがある。とても素敵な表現ではないだろうか。

熱意ある指導者は子供たちを少しでも成長させようと情熱を傾ける。もっとうまくなるために、もっと強くなるために、そして試合に勝ち続けることができるために。そうすることでサッカーが楽しくて、サッカーを続けてくれると信じている。

でもそうした外的刺激が強くなりすぎるがために、内的欲求が満たされなくて心が消耗してサッカーから離れていく子どもたちがとても多いという事実から目を背けてはいけないのだ。

《上手くなるかどうか》《強くなるかどうか》の前に《サッカーを好きでい続けられるかどうか》が先に来なくてはいけないんだ。

【きちゼミ】子供たちのやる気を奪わないコーチングメソッド。SCフライブルクの育成現場から学んでみよう

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