【指導論】子どもたちに指導者としてかかわるうえで必要な要素とは何だろう。可能な限りわかりやすく解説していきたい
▼ 新企画!指導者ってどうなるの?
僕らが指導者になるいきさつはそれこそ人それぞれだろう。
プレーしているときに指導者という職業に憧れてて学びだす人もいるだろうし、人に頼まれて急にやることになったという人もいる。現役時代、キャプテンを務めたり、リーダーとしてかかわることが多かったから、自然とやるようになっていたみたいな人だっている。
最初に指導者として現場に立つとき、何を参考に子どもたちに話をするだろう。
どうやってトレーニングを考えるだろう。
僕自身の最初のトレーニングを思い返してみると、正直「混乱」しかそこにはなかった(苦笑)。
いろいろとプランを考える。グラウンドに行く。実践する。手ごたえと反省を持ち帰る。この繰り返しのなかで指導者としての経験値を高めていく。
ではその判断基準はどこにあるのだろう?
何がいいトレーニングで、何がいい指導なんだろう?
多くの人にとってそれは自身の経験を振り返って考えようとする。極端に言えば、自身の経験しか考えるベースがないことでもある。
僕がドイツでA級ライセンスを所得した時の指導教官ベルント・シュトゥーバーはこう言っていた。
「経験はないんだよ。指導者をしたことがないんだから」
現在DFBアカデミーの指導者育成主任トビアス・ハウプトはこう言う。
「大事なのは指導者という仕事に情熱的で、学ぶ意欲があることです。ほかにやることがないからという理由であってはならない」
指導者は選手とは違う。自分がプレーできることを伝えるためには、どういう言葉を使えばいいのか、どんなオーガナイズをすればいいのか、どれだけの時間を費やせばいいのかは目の前の子供たちで全然違ってくる。
だから学べと言われて確かにそうだなと思うけど、でも一介のボランティアコーチが四六時中指導について、育成について考えることはできない。
ではどうすれば、子供たちが育っていく手助けをできる指導者になることができるのだろうか。
どんな要素を気をつければ、いいトレーニングをすることができるんだろう?
そんなことを新企画としてまとめていきたい。
今まで現場に立ったことがなかったのに「人手が足らないから助けて」といわれてコーチになった人でも、少なくともこういうことを考えて、こういうところを目指して、こういう視点で取り組んでいけばいいんだな、というのがわかるように、可能な限りわかりやすく、かみ砕いて、かみ砕いて考えていこうと思う。
▼ 指導者に求められる要素って?
まず子どもたちにサッカーを伝えるために指導者が知っておかなければならないことを箇条書きしてみよう。
・スポーツってなんだろう?
・サッカーってどんなスポーツ?
・子供たちの成長に必要な要素。やればやるほど成長する?
・大人のサッカーと青年サッカーと子供のサッカーは違う
・楽しく笑顔でサッカーをすることはうまくなるために一番大事
・認知-判断-決断-実践プロセスが重要
・自立して取り組む子どもってどうやったら育まれる?
・ミスのススメ
・子どもたちが健全に成長するためのトレーニング頻度
・余白の大切さ
・早期英才教育が子供に及ぼすデメリット
・厳しい声掛けは指導者の甘え
・年代別子どもたちの性質と特性
・子どもたちそれぞれと向き合うことが大事
・育成指導者の役割って?
・賢い選手になるために何に気をつけたらいい?
・どんなふうにトレーニングをしたらいいの?
・いろんな遊びを試してみよう
・サッカー以外のスポーツもどんどんやろう
・最適なトレーニングメニューを考える
・トレーニングメニューの応用の仕方を身につけよう
・認知トレーニングのススメ
・子どもたちへの声掛けのしかた
・子どもたちにとって最適の試合環境
・全員出場は最低条件
・チームビルディングでチーム一丸に
・親へのアプローチ
・ジュニアサッカーの先の進路を作ろう
・地域との結びつきで一緒に成長できる
・指導者同士のオープンな交流が大切
・生涯スポーツのススメ。引退のないスポーツ界へ
ざっとこんなところだろうか。あとで思いついて追加するものも出てくると思うが、上記テーマについてそれぞれ取り上げて考察していきたい。
▼ スポーツってなんだろう?
これに関しては前回ゆきのさんが書いてくれたコラムがとても大事なことを伝えている。
【ゆきラボ】
「日本語だとサッカーの試合をするとサッカーをして遊ぶは別ものというイメージ。でもドイツ語では同じ“Fußball spielen”。スポーツとしてのサッカーと遊びとしてのサッカーは、区別されるものではなくて地続きにずっと繋がっているイメージです」
超大事!https://t.co/Qmwky3yK13— 吉之伴@??サッカー指導者 (@kichinosuken) January 27, 2021
「ドイツの試合会場で、子ども可愛さのあまりつい熱くなってしまう大人に向かって『おいおい、これは子どもの“Spiel”なんだぞ!』というたしなめ方がされることがあります」
「初めて聞いたとき『スポーツというのは子どもの遊びなんだから大人が熱くなってそこに介入するのは大人げないだろう』という意味なのかと思っていました。いまは『子どもが楽しく真剣にサッカーをしているのだから、大人は不用意にそこに介入してはいけない』という意味なんだろうと考えています」
(残り 2444文字/全文: 4459文字)
この記事の続きは会員限定です。入会をご検討の方は「ウェブマガジンのご案内」をクリックして内容をご確認ください。
ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。
会員の方は、ログインしてください。
外部サービスアカウントでログイン
Twitterログイン機能終了のお知らせ
Facebookログイン機能終了のお知らせ