中野吉之伴フッスバルラボ

【動画】グラスルーツの問題を認知した上で、子供たちが生涯サッカーを楽しみたいと思ってもらえるために、今私たちにできることはなんだろう?

▼ 恵比寿でのワークショップより質疑応答動画を公開

1月9日(木)に恵比寿で「グラスルーツ問題を考えよう」というワークショップを行った。お集まりいただいた30人の参加者に5グループに分かれていただき、それぞれこちらからの質問や問いかけにグループディスカッションをしてもらう。

講習会というと講師の話を聞いて、「ハイおしまい!」という形もあるし、それにはそれの良さがあるが、個人的にはこうした自分の意見を口にして、ほかの意見を聞いて、それを反芻してまた考えてという時間を持つことが重要だし、結果としてそれぞれのために立つと思っている。

よく言われることだが、話を聞くだけでは頭の中に10%くらいしか情報は残らない。聞いたことを整理して話す、それに対するほかの話を聞く、また整理して言葉にしていくというプロセスを重ねることで、その言葉はただの文字列以上の意味を持つようになるのだ。

だからこそこのワークショップもそうだし、1月の一時帰国時には多くの場所でグループディスカッションの時間を持つようにした。ただ、その方がいいとわかっていても、実際にそれがうまくいくかどうかはわからない。参加者が興味を示さなかったらおしまいだからだ。

聞くだけで、参加するだけでも価値がある。少なくとも腰をあげてそこまでくるというのはそれだけで十分に評価されるべきことだから。でも、せっかくだから、もっと前のめりになってもらいたいし、そのためのきっかけになってほしいと思っている。ただ質問を丸投げするのではなく、まず最初に3つのルールをこちらからお伝えすることにしている。

1.どんな意見も正しい意見として受け入れよう
2.わからないという答えも正しい答えだと認めよう
3.そのなかで自分が正しいと思う答えを「なんで?」と掘り下げて考えてみよう

1つ目と2つ目は以前イベントでご一緒させていただいた質問メンタリストの藤代圭一さんからアイディアを拝借した。

やはり私たちはどこかで人前で意見をするのが苦手だ。学校生活でも、一般社会においても意見すべき場に立つ機会自体が少ない。スムーズに物事を進行する、させることへ優先権がゆだねられ、基本的には模範解答だけが求められる。

「生徒の、部下の意見を聞いてみよう」と、表向きオープンな態度を見せようとする教師や上司からの質問には、すでに答えが準備されていて、それを答えられるか、否かで、その人が気に入られるかどうかが決まっていきがちだ。

だから、間違ったことを口にする、いまその場にそぐわないことを意見するというのは、多くの確率で「空気を読まない」という評価一辺倒にさらされ、自然と余計なことは言わないで飲み込むというのが、社会的常識みたいになっていく。

まったく、変なコミニュケーションだ。

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