Jウォッチャー ~日本サッカー深読みマガジン~

【ニュース】Jリーグの新たな成長戦略と構造改革を発表。①58クラブがそれぞれの地域で輝く②トップ層がナショナル(グローバル)コンテンツとして輝く。その成長のための構造改革(配分金を含む)。

11月15日、Jリーグの022年度 社員総会及び実行委員会を開催し、その後WEB上で記者会見が行われた。
この中で、リリースされたJリーグの新たな成長戦略と構造改革について、会見の冒頭で野々村芳和チェアマンが次のように説明した。


○野々村芳和チェアマン
僕は今タイに来ています。今2022Jリーグ アジアチャレンジで札幌と川崎がタイで試合をしていますし、それとタイとの海外放映権についての交渉でタイに来ています。
今回のJリーグがどういう世界を目指すのかという事について、少し説明させていただきたいと思います。

Jリーグはここまで30年やってきてすごく成長はしてきたと思います。一方でここからの30年、40~50年で変えていかないといけないよねという事もありました。サッカー的なレベルも上げていかなければいけないですし、実現する上でもリーグとしての魅力をどう上げていくのかというところで、ここにあるように新たな成長戦略とそれを実現するための構造改革が必要だということで、まずは2つの成長テーマを成長戦略として挙げています。

それぞれのクラブがそれぞれの地域で輝くことをもっと強調してやっていこうということです。一方でトップ層が国内でも海外に出ていっても実力的にもコンテンツとしても輝くと、この2つを大きな成長のテーマとしています。
それをどう実現していくかという事を図にしたものです 。


ローカル露出拡大と書いてあります。ここにJリーグとしても金、モノ、人をしっかり投資していこうということです。今年の10月からトライアルとして5つの地域でローカル露出を始めています。Jクラブだけではない地域のサッカー番組を始めました。その後、別の時間帯でのテレビやラジオ・新聞を含めたメディアの露出を拡大していこうと。これが実現できると人気・関心を上げてそれぞれのクラブの入場料収入が増えたり、TVの視聴が増えてスポンサー価値を上げ、クラブの収益が増えていくような事を考えています。

5つの地域に投資してテストしてみた結果、だいたい4月と10月の露出の差で言うと、まず新しく立ち上がた番組を除いた部分だと2倍~20倍、番組を除いた部分では1000倍~1万倍の露出の差が出ています。

もうひとつ、その地域には7つのクラブがあるのですが、Jリーグのスタッフも現地に行って一緒に働いていますが、注力試合を設定して運営してみました。その結果、どの試合もほぼほぼ今シーズン最多の入場者数とすることができました。こんな事を全部の地域で投資をしながら、リーグとしても一緒に働かせてもらいながら、それぞれの地域のクラブが成長していくことを回していくと。

一方で成長テーマのその2ですけど、基本的には全てのクラブが成長することがもちろん大事ですが、ビジネス的な観点(放映権)を含めて考えると、トップ層がナショナルコンテンツとしてどれだけ魅力的になるのかが非常に重要になっています。

ここは後で少し説明しますが、配分金の配分の仕方とか、要は強かったら、人気が出たらそこのクラブが人気が出たら利益を得られるような、競争の世界をより強くすることでどのクラブがトップに行くのかというような競争のフェーズに入っていくんだろうと考えています。

先ほどのローカル露出もそうですが、いかにフットボール改革のために投資していくかということが非常に重要なのではないかと思っています。

ここで少し付け加えると、ローカルでの露出とかそれぞれの地域での露出が増えてお客さんが増えることで-就任当初から言わせてもらっていますが-サッカーという作品がスタジアムの雰囲気も含めて素晴らしいものになると、要は満員に近いような空気の中でサッカーをすることは、選手のクオリティや能力を上げていくと思うんですね。フットボール改革というのはいろいろとあると思うのですが、その中でも満員の熱量のあるスタジアムをどう作っていくのかはビジネス的にも重要ですけどフットボール能力を上げる意味でも非常に重要なのかなと今考えています。こういった循環を回していく事で、リーグやそれぞれのクラブが成長していく事を実現していきたいと思っています。

そのための構造改革ですが、配分金の構造を見直す事を実行委員の皆さんと話し合いをしながら決めてきています。

今までだと配分金の比率はJ1対J2の比率が2:1でしたが、5:1~6:1くらいまでJ1への配分を高めることを目指していきたいと。ちなみにスペインでは9:1くらい、ドイツでは6:1。要はトップ層が輝くようなことをやっていく事で、放映権の価値などいろいろなリーグの価値が上がって大きなビジネスになっていくような循環があるわけなので、そこを牽引してもらうためにもJ1への配分割合を変えると。

繰り返しになりますが、成績やファンがどのくらい増えたかというような結果配分中心したものへシフトするとともに競争していくと。

今、ヨーロッパの大きなリーグと比べると、Jリーグの中で圧倒的なチームってどこなのかと言われても、この10年でも2~3チームが複数回優勝しているだけで、まだまだ競争のフェーズにあると思うんですよね。場合によってはまだ下のカテゴリーにいても、日本をリードしていくようなビッグクラブになる可能性もあるのが今のJリーグなので、そこで引っ張ってもらうようなクラブに出てきてもらいたいという思いがあります。こんなところを上手く回していくためにも、その下のガバナンスを少し見直していきましょうという事を決めました。

このガバナンスも、10チームで始まったJリーグも30年前から上手く引き継ぎながらここまで来ていますが、例えば理事会はすごく優秀な方が集まってくれているので、その約2時間をより有意義に使うためにも改革した方がいいだろうと。一方で実行委員会も、私もこれまでの実行委員会に出ていましたが、みんなで何かを議論する時間がほとんどとれないような感じでした。だとするならばその時間ももったいないしいろいろな議論の場にしていかないといけないと思うので、そのためにはガバナンスを変えて進めていく方が、よりJリーグにとってまたは各クラブにとってもいいだろうと。これは以前からJリーグ内でも議論されていたことですが、このタイミングでいろいろな事を変えて前に進もうと決めました。
駆け足でしたが、僕からの説明は以上となります」

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