Jウォッチャー ~日本サッカー深読みマガジン~

「選手会としても、今回シーズンを変えることのメリットはそれほど強く認識しないというコメントがあったと報告がありました(Jリーグ・村井チェアマン)」~11月のリーグの理事会より(3)~

11月21日、JFAハウスにて11月のリーグの理事会が行われた。理事会後に記者会見が行われ、Jリーグ村井満チェアマンから決議事項・報告事項が発表された。

今回は理事会後の会見に出席した村井満チェアマンのコメントをお届けしています。

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○村井満チェアマン
Q: シーズン移行についてお伺いします。昨日田嶋会長からご説明があり、Jリーグ側からもご説明がありました。Jリーグ側からは経営のことを話をされて、田嶋会長からは代表強化の話をされていました。当事者の選手とか選手会の考えはどうなのでしょうか。Jリーグでも毎年観戦者調査をされているかと思いますが、試合を観に来る方々の数字とか各クラブにはアンケートを取ったと思いますが、実際にプレーする選手や見に来る人達の声が聞こえてこないのは残念です。商品を売る人たちと、買う人たちのところがなおざり(おろそか)にされていることが両者の話を聞いていて腑に落ちないのですが、調査する予定はもうないですかね?

「Jリーグとしては議論中のために中間報告ということで申し上げています。今日の理事会の中でも、当然ながら選手にとってはどうなのかという議論が出ています。選手に関しては、原さん(副理事長)を中心に、選手会(※1)との意見交換を重ねています。実際、シーズン移行に関して、選手会としてはどういう意見なのか確認作業をしています。今日のディスカッションの中で、その話を原さん自身がしているので、その点についてお伝えさせていただきます。

選手会については、シーズンを変えることよりも、例えば天皇杯決勝が元日に残っていること。12月上旬でシーズンが実質終わっている中で、数クラブが(天皇杯)準決勝・決勝に残っています。ほとんどのクラブがシーズンを終えていている中で、一斉に休暇に入れないことに対する懸念する声が挙がりました。選手会としても、今回シーズンを変えることのメリットはそれほど強く認識しないというコメントがあったと報告がありました。

また、今日いくつかの議論が出た暑熱等について、やはりそれだけ(試合の)質が落ちますか?ということについては、理事会には選手経験者もいますので(※2)、何試合もあるとクオリティーが落ちることもあるが、あらかじめ備えをしておくことはできるという話もありました。ということから、選手側の意見が必ずしも『シーズンを変えねばならない』という意見ではないというふうに認識しています。

それから、試合を観に来ていただく方・ファン・サポーターについては、クラブが懸命に集客努力をしていますので、(クラブの社長が出席する)実行委員会の中で、クラブの実行委員の方々とファン・サポーターはじめ入場者について相当なディスカッションをしています。地域によってクラブの事情は随分違いますので、降雪地のクラブの実行委員がおっしゃっていたのは『今でもファン・サポーターが来れるギリギリのタイミングで試合を開催しています。1週間でもこれ以上先になると集客上厳しくなると、お客様に対して現実感はない』と、複数クラブから出ています。

例えば12月に2試合、2月に1試合開催しますと、特定のクラブでアウェイが連戦することもあります。アウェイが2~3節続いてしまうということをやらざるを得ない場合は、サポーターからすれば、隔週でファン・サポーターとクラブが触れ合うことで良いリズムでエンゲージメントできるけれど、アウェイが続いてしまうと、(過去に)私も個人の懐具合でアウェイが月にアウェイが4回くらいあると本当に財政がパンクするような経験がありましたが、そういう意味では個人の観戦者のいろいろな状況に鑑みると、やっぱりアウェイ・ホームが良いリズムで行われることが良いのではないかという声がずいぶん出ました。我々がアンケートをファン・サポーターに直接取っているわけではないですが、クラブの実行委員会がファン・サポーターの声を代弁してくれていますし、結果として8割程度が反対していると認識しています」

※1:日本プロサッカー選手会(JPFA)
http://www.j-pfa.or.jp/

【参考】日本プロサッカー選手会(JPFA)の日程についての意見について。(2016年10月、2シーズンから1シーズンへの移行についての資料より)
これまでJPFAとJリーグは、月に一度の頻度で事務レベルでのミーティングを行ってきた。特に日程の問題は 毎回意見交換をしてきたが、その中では「オフが揃わない(全員が同じ時期に十分にオフを取り、しっかり準備して開幕を迎えたい)ことによるコンディション調整面での懸念」「4ヶ月間リーグ戦がないことによる強化面での不安」といった意見が大勢を占めていた。

※2:Jリーグ理事会メンバー
《理事会メンバー》[2017年6月27日現在]

理事・監事 氏名 所属
チェアマン 村井 満 公益社団法人 日本プロサッカーリーグ
副理事長 原 博実 公益社団法人 日本プロサッカーリーグ
理 事 木下 由美子 公益社団法人 日本プロサッカーリーグ
有森 裕子 株式会社RIGHTS. 取締役
井畑 滋 株式会社鹿島アントラーズ・エフ・シー 取締役相談役
岩上 和道 公益財団法人 日本サッカー協会 事務総長
小川 佳実 公益財団法人 日本サッカー協会 理事、審判委員長
織田 秀和 株式会社サンフレッチェ広島 代表取締役社長
木村 正明 株式会社ファジアーノ岡山スポーツクラブ 代表取締役
小宮山 悟 野球評論家
塚野 真樹 株式会社SC鳥取 代表取締役社長
並木 裕太 株式会社フィールドマネージメント 代表取締役
西野 朗 公益財団法人 日本サッカー協会 理事、技術委員長
野々村 芳和 株式会社コンサドーレ 代表取締役社長
原田 宗彦 早稲田大学スポーツ科学学術院教授
淵田 敬三 浦和レッドダイヤモンズ株式会社 代表取締役社長
眞壁 潔 株式会社湘南ベルマーレ 代表取締役会長
村松 邦子 株式会社ウェルネス・システム研究所 代表取締役
山本 浩 法政大学スポーツ健康学部 教授
監 事 味村 隆司 株式会社ディスクロード 代表取締役
大塚 則子 大塚則子公認会計士事務所 代表
特任理事 池田 純 有限会社プラスJ 代表取締役
小西 孝生 株式会社Jリーグホールディングス 代表取締役社長
馬場 渉 パナソニック株式会社 ビジネスイノベーション本部 副本部長
パナソニック ノースアメリカ株式会社 副社長
福西 崇史 サッカー解説者

(4)へ続く

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