Jウォッチャー ~日本サッカー深読みマガジン~

「まだまだホームタウン活動とシャレン(社会連携)は何が違って、何を組み合わせるとシャレンになるのか、まだまだ浸透しきっていません(Jリーグ・米田理事)」~2019年第4回のJリーグの理事会より(3)~

4月25日、JFAハウスにて2019年4回目のJリーグの理事会が行われ、理事会後に記者会見が行われた。

数回に分けて理事会でのコメントを中心にお届けします。

(2)はこちら


○村井満チェアマン
Q:今年入場者数が増えているトレンドを紹介されましたが、それはなぜか。分析などがあれば聞かせてください。

「もう少し時間を見てみたいなと思っています。昨年がワールドカップイヤーでしたし、同節比の中でも、若干平日開催が多かった年でもあります。昨年比として単純に比較するには時期尚早かなと思っています。もう少し経過したところで、分析をしたいと思っています。
一つ大きな特徴は、フライデーナイトJリーグの回数を増やしていますが、来場数やDAZNの視聴数など、いずれもポジティブな数字が出ていますので、新たなお客様との接点が増えている可能性があると思っています」

Q:「Jリーグをつかおう!」というイベントについて。昨年と似たところや変えていくところがあると思いますが、今回開催を経て目指すところや到達点はどこに設定しているのでしょうか。

※米田理事が回答
「実行委員会では、(到達点について)そのへんはクラブとも共有しているところです。まずはクラブの担当者も、まだまだホームタウン活動とシャレン(社会連携)は何が違って、何を組み合わせるとシャレンになるのか、まだまだ浸透しきっていません。まずクラブがこういう人と連携してこういう活動を生み出せばシャレンになるんだなとか、社会のインパクトが出るんだなというのを実感するのが、まずインナー(Jリーグ内)の目標としてあります。
また外側に向けて、昨年『Jリーグを使おう』というキャッチコピーで、もっともっとつながっていこうという発信をしたものの、外側から見ると実はサービスになっていないという指摘があります。
例えばいったい窓口がどこなのか、どこにどういう問い合わせをしたらいいのか、アイデアはどこに投げたらいいのかわからない状態だったので、それをわかる状態にするのが、今回の趣旨です。ですので、当日発表する案件が2つほどありまして、今後我々がもっと使いやすくなるための企画として2つ提示する予定です。そのあたりによって、『こうやって企画してJリーグと組むことができるんだね』ということを、外側の人に発信して理解していただくことが2つ目のゴールです」

年間約2万回行われたJクラブのホームタウン活動について「クラブと選手がずっとクラブホームタウン活動を一生懸命続けてきて、それはこれからも続けていきます(Jリーグ・藤村氏)」~2019年第3回のJリーグの理事会より(3)~

昨年5月に開催された「Jリーグを使おう」の様子

「Jリーグ関係ないよねという人の方がマジョリティである以上は、どうやったら関係ある(ようにできるか)。私たちの生活とJリーグが関係あるという状態にどう変化できるかが、我々の経営課題の中心(米田理事)」Jリーグ25周年未来共創『Jリーグをつかおう!』ワークショップより(4)

※村井チェアマンから補足
「私の方から余計なことを一つ。ForbesJAPANという雑誌の表紙を米田が飾りました。個人的には腰が抜けるくらいびっくりしました(笑)。
持っている意味合いが、なぜこうなんだろうということを私なりに考えてきましたが、今までのJリーグではなかなかなかったことです。
たぶんこれからの時代の大きな底流をなす概念が、行政の財政とか中央の配分をあてにしていてはなかなか難しい中で、自立した個人の相互扶助というような、一人一人が人生のオーナーシップを持って、自分たちの町をこうするああするという、そういうエネルギーや社会システムが、次の時代にとても大事なのかなと思っています。
思い付きと言っては怒られてしまうかもしれませんが、限界まできたホームタウン活動、この先、2倍・3倍と増えない中で、逆転の発想で『Jリーグをつかってもらおう』と言ったことの裏側に、Jリーグを使いたい方がいっぱいいた。それから自分たちで社会を作ろうとしている人たちがいた。こうした自助の相互扶助、言い方を変えるとシェアリングエコノミーだったりするのかもしれませんが、そういう時代感が、もしかしたら非常に重要な方向にあるのかなということを、読みながら再確認しました」

※米田理事が補足
「本当に、内閣官房などを含めていろいろな省庁の方にも注目していただいています。まだまだ結果が出せていない所では私の力不足なんですが、教育の側面、健康の側面、ダイバーシティの側面、本当にいろいろな方々がいろいろなJリーグの価値を発見してくださっています。
あとはリアルなコミュニティに対する価値がすごく上がってきていて、ソーシャルインパクトボンドと呼ばれる、自治体がインセンティブ型の資金を出しますという形のスキームがあるんですが、今までコミュニティの形成に今までお金が付くということがなかったんですが、そういった世の中のトレンドを、クラブというリアルコミュニティがキャッチできる器だと思っていまして、クラブの価値が相対的に上がってきたんだなと思います。今とある所から『防災の観点から組めませんか?』とか、いろいろなところからお声がけしただいています。Jリーグの社会連携本部も職員が2名で役員が私ということで、外の方にもたくさんお手伝いいただいていますが、いっぱいくるオーダーを企画までなかなかブラッシュアップするところまでできていません。企画までブラッシュアップして実装していくために、ちょっと交通整理をするという意味も含めて今回イベントを開催します」

(4)へ続く

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