「football fukuoka」中倉一志

【無料記事】【レポート 天皇杯4回戦 栃木-福岡】2年連続のベスト8進出。選手層と質の違いを見せて延長戦で栃木を下す

天皇杯 JFA 第103回全日本サッカー選手権大会 4回戦
2022年8月2日(水)19:00キックオフ
会場:カンセキスタジアムとちぎ/2,368人
結果:栃木SC 2-4 アビスパ福岡
得点:[福岡]佐藤凌我(20分)、[栃木]根本凌(45+3分、51分)、[福岡]ウェリントン(54分)、ルキアン(114分)、山岸祐也(117分)

序盤に主導権を握っていたのは栃木SCだった。シンプルにロングボールを入れてゴールに迫ったかと思えば、中盤に空いたスペースに縦パスを入れてリズミカルにパスを回して攻撃を組み立てる。序盤から決定的なチャンスを作り、あわやゴールというシーンを何度も作りだした。だが、試合は延長戦の末に4-2でアビスパ福岡が勝利。アビスパは苦しみながらも最後は質の違いを見せて2年連続ベスト8へと駒を進めた。

「スカウティングから始まって試合に挑んでいるが、やはり思った通り栃木は良いチームだった。相手のペースの時間が長かったんじゃないかなと思う。ただ得点のところのクオリティで言うと、我々の方が少し上だった」(長谷部茂利監督)

この言葉がこの日の試合のすべてを物語る。試合は立ち上がりから栃木がリズムを刻む展開。14分、19分と決定的な場面を作り出す。このチャンスを栃木がものにしていれば、試合は別の結果になっていたかもしれない。だが先制点は福岡。20分、ドウグラスグローリから始まった攻撃は、井手口陽介とのワンツーから田中達也がスピードを生かして右サイドを突破。鮮やかなクロスボールにファーサイドに詰めていた佐藤凌我が右足ボレーでゴールネットを揺らした。

それでも栃木の勢いは止まらない。前半のアディショナルタイムに根本凌(栃木)がPKを決めて同点に。判定は微妙なものだったが、根本に最終ラインを突破された時点で勝負ありだった。そして後半も主導権を握るのは栃木。その勢いのままに51分、セットプレーから再び根本が決めて逆転に成功する。ここまでは栃木の思惑通りに進んでいた。

だが、栃木の2点目は、むしろアビスパに火をつけた。栃木の逆転ゴールから3分後、先制点同様に田中達也がスピードを活かして右サイドを突破してクロスを送ると、中央で待つウェリントンが頭で合わせて同点ゴールをゲット。次の1点を目指してお互いに選手交代で流れを引き寄せようとする中、アビスパがじわじわと試合の主導権を手繰り寄せる。試合は延長戦へともつれ込んだが、ここでアビスパは前寛之と奈良竜樹を投入。これで流れは一気にアビスパのものになった。

そして立て続けに決定機を作りだすと、114分に金森健志が放ったシュートのこぼれ球を反応鋭くルキアンが押し込んで勝ち越し。さらに117分には山岸祐也がヘディングシュートで4点目を奪って試合を終わらせた。

苦しい試合ながら、最後は選手層と攻撃の質の違いを見せて勝利を手にして2年連続でベスト8に駒を進めたアビスパ。準々決勝では(8月30日19:00)、ホーム・ベスト電器スタジアムに湘南ベルマーレを迎えてクラブ史上初のベスト4進出に挑む。

[中倉一志=取材・文・写真]

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