【無料記事/審判批評ルール解説vol.9】湘南ベルマーレ×ベガルタ仙台戦、ハンドをとらなかったことに対する家本主審への批判を競技規則から考える
昨日行われた2016J1 1st第13節の湘南ベルマーレ×ベガルタ仙台戦での家本政明主審の判定が物議を醸している。
それは湘南ベルマーレが一点を追う展開で迎えた90+4分。クロスのこぼれ球に湘南ベルマーレの島村毅が反応し、ベガルタ仙台の奥埜博亮もアプローチに行く。島村がダイレクトで中央に折り返すと、アプローチに来た奥埜の腕にボールが当たってしまう。
湘南ベルマーレ側はハンドをアピールするが、適用されず。この試合を取材したサッカーダイジェスト誌は「PKだろ! 90+4分、ハンドが認められずブーイングの嵐。湘南、最下位脱出ならず」と題し、「“故意ではないハンド”として、ファウルはとられなかった。ただ、明らかに優位な状況にあった湘南側のパスが、DFの身体から離れた手によって“ブロック”されていた。他の主審であれば、PKが与えられていた可能性はある」と判定への疑問を投げかけた。
では、このプレーはハンドリングとするべきだったのか?
ハンドリング、【ボールを手または腕で扱う】は、「競技者が手または腕を用いて意図的にボールに触れる行為」のことだが、この反則を見極める際には、考慮すべきことがある。
- ボールが手や腕の方向に動いているのではなく、手や腕がボールの方向に動く。
- 相手競技者とボールの距離(予期していないボール)。
- 手や腕の位置だけで、反則とはみなさない。
- 手に持った衣服やすね当てなどでボールに触れることは、反則とみなされる。
- サッカーシューズやすね当てなどを投げてボールにぶつけることは、反則とみなされる。
今回のシーンで言えば、「ボールが手や腕の方向に動いているのではなく、手や腕がボールの方向に動く」「相手競技者とボールの距離(予期していないボール)」「手や腕の位置だけで、反則とはみなさない」が論点である。審判団への批判は、競技規則を元に行うのが公正ではないだろうか。