【無料記事/審判批評ルール解説vol.8】主審はなぜ前半17分に河野広貴に警告を与えたのか
先日行われた2016J1 1st第12節のFC東京×サガン鳥栖戦にて、木村博之主審のカード基準に疑問の声があがった。前半17分、FC東京が獲得したFK時に、キッカーである河野広貴に与えられた警告についてである。
渡邊一平氏は「たぶん、キックする前にボールの空気圧のせいか、(FC東京は)ボールを変えてもらったんですよ。そこでかなり時間がかかったので、レフェリーがカードを遅延行為として出したと思うんですよね」と解説し、「状況を考えたら遅らせる意味がない」と判定への不快感を示した。おっしゃる通りで、遅延行為での警告は厳しいと思う。
しかし、河野への警告は、【C5:遅延行為】ではなく、【C3:異議】である。
木村主審は、前田の足に影響したスライディングをしっかりと見極めた。このファウルに対し、サガン鳥栖側が“前田がコースに入ってきた”とアピールするが、木村主審は毅然と対応する。ここで河野が何かをアピールしていた。木村主審は“ファウルをとって、次にリスタート”というしっかりとしたアプローチをとり、ボールをセットさせる。が、ここでも河野が何かを言い、さらに木村主審が歩測に入った所で、右手で不満を示すように何かを言っていた。
そのため、【(言葉であろうとなかろうと)審判員の判定に対して抗議する競技者は異議を示したことで警告されなければいけない】ため、【言葉や行動で異議を示す】で警告となったのだ。渡邊氏も、異議での警告と聞き、受け入れていたようだった。