【無料記事/審判批評ルール解説vol.10】U23-日本代表×ポルトガル戦で誤審はあったのか?
昨日行われたトゥーロン国際大会2016グループステージ第2戦、リオ五輪でメダル獲得を目指すU-23日本代表とU-20ポルトガル代表戦の判定が物議を醸している。
サッカーダイジェスト誌の「「誤審」と「決定力不足」に泣き」だけでなく、Jリーグ公式サイトも「判定にも泣きポルトガルに完封負け」と報じ、サッカーマガジン誌はより辛辣に「見え見えハンドもPKはなし」と題し、「中央で対応したポルトガルDFパウロ・エンリケが明からさまに肘でボールを叩き落としたが、地元フランス出身のミロ主審はこれをスルー」と判定への疑問を投げかけている。さらに、放送を担当したNHKもジャッジを批判している。
64分、ポルトガル選手が太ももでボールをGKに返すと、実況は「バックパスじゃないですか?」と指摘し、早野宏史氏も「足なんですけどね」と誤審をほのめかした。
では、審判団はバックパスを適用すべきだったのか?サッカー競技規則第12条【ファウルと不正行為】のなかの【ゴールキーパーの反則】を見てみたい。
『味方競技者が意図的にゴールキーパーにキックしたボールにゴールキーパーが手または腕で触れた場合』
『味方競技者によってスローインされたボールをゴールキーパーが直接受けて手または腕で触れた場合』
にバックパスとされる。
おそらく早野氏は、この「意図的にゴールキーパーにキックしたボール」とジャッジし、「足なんですけどね」と解説したのだろう。
だが、頭や腕はもちろんのこと、膝でのプレーも、この“キック”には含まれない。つまり、ポルトガル選手の太ももでのプレーは、バックパスの反則にはならないのだ。
語弊がないように付け加えておくと、【競技者が競技規則の裏をかき、意図的に策略を用いて味方のゴールキーパーに頭や胸、膝などでボールをパスする】ことは警告となる。今回のケースでいえば、ポルトガル選手が止まったボールを自ら浮かし、リフティングするような格好で膝を使いGKにボールを返していたら、その時点で警告となり、間接FKが日本に与えられたということである。
が、あくまでもプレーの流れの中で太ももを使ったため、審判団はファウルとしなかった。妥当な判定だったのだ。このように、疑問視された富樫のオフサイド、またハンドリングも競技規則を元にFBRJで考察したい。