サッカー先進国を視察する時代から視察を受け入れる時代へ Jリーグはスタジアム建設にどう関わってきたのか<3/3>
■建設費の高騰とアリーナの建設ブームをどう見るか?
──国体(国民体育大会)は、今年の佐賀大会から国スポ(国民スポーツ大会)に名前が変わります。去年、リハーサル大会である全社の取材で佐賀を訪れたんですが、メイン会場となるSAGAサンライズパークは、スタジアムとアリーナと水泳場がセットになっていました。サガン鳥栖はすでにスタジアムがありますから、陸上競技場を使うことはないでしょう。大会後は活用されない陸上競技場が、税金でどんどん作られることのほうが問題だと思うのですが。
佐藤 確か4月くらいに、宮城県知事が「国スポ見直し」を提言したことがニュースになっていましたね。やはり費用負担が問題になっているのだと思います。そもそも1万5000人以上も入る陸上競技場を地方に作っても、大会後はそれだけのお客さんが入るイベントがないわけですよ。だったら、フットボールスタジアムを国スポのメイン会場にしたほうが、まだ活用法はありますよ。
念のために申し上げますが、私は陸上競技場を否定するつもりはまったくありません。ただ客席数は1万5000席もいらないし、屋根とか貴賓席とかも絶対に必要とはいえない。温水シャワー付きの更衣室とトイレが完備されていればいい。陸上競技場を国スポのメイン会場にするから、収益性を度外視した施設があちこちにできてしまうんです。
──要するに、サッカーはサッカー専用、陸上は陸上専用のスタジアムで行うべき、という話ですよね?
佐藤 そうです。このことは2010年から、ずっと言い続けてきたことなんですけどね。それと関連していえば、私は昔から「サッカー専用スタジアム」という表現に違和感を覚えていました。「陸上専用競技場」とか「野球専用スタジアム」とか言わないですよね? なぜサッカーだけ「専用」を付けなければならないのか、という話ですよ。
──まさに、この国のサッカーの地位を表している表現ですよね。ところで今後のスタジアム建設について、過去10年と比べて大きな環境変化がありました。まず、資材や人件費の高騰。これまでは2桁億円だった建設費が、今後は3桁億円が相場になりそうです。そしてもうひとつが、Bリーグのアリーナ建設の波が全国的に広がっていること。自治体によっては、スタジアムよりもアリーナを優先するかもしれません。これらが与える影響については、いかがでしょうか?
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