宇都宮徹壱ウェブマガジン

運の有無で明暗を分けたジェイリースとJSC 波乱に満ちた地域CL1次ラウンドを振り返る

 先週、3会場で行われた地域CLについて、私が取材した磐田会場を中心に、今週は総括することとしたい。その前に、いささか雑談めいた話など。

 試合会場となった磐田スポーツ交流の里ゆめりあ球技場は、2002年ワールドカップ日韓大会において日本代表のベースキャンプとなった施設。ところが、選手と観客と取材者の動線が驚くほどに曖昧だった。会場では音響設備もなく、スターティングイレブンや得点者のアナウンスもなし。2002年当時は、セキュリティの確保と情報漏洩の防止に、関係者は相当に苦労したことだろう。

 そんな何ともゆるい雰囲気の試合会場で、しかも取材者の数も極めて限られていたため、今大会は何度か見知らぬ方から声をかけられた。

 大会初日にお会いした方は「宇都宮さんの記事を読んで、このカテゴリーにハマりました」とお礼を言われ、さらに別の方から『股旅フットボール』と『フットボール風土記』にサインを求められた。2日目には「宇都宮さんですよね?『異端のチェアマン』面白かったです!」と声をかけられた(ちなみにガンバ大阪サポーター。ジュビロ磐田戦のついでに来ていたのだろう)。

 端的に言って、コスパもタイパも実に割に合わないのが、ブックライターの仕事。それでも、この仕事を続けてこられたのは、作品を通してファンを獲得できるからであり、自分の仕事が読者の記憶に残るからだ。こうして見ず知らずの方から声をかけられ、サインを求められるたびに、私はブックライターであり続けて心底よかったと思う。

 その流れで言えば、宇都宮徹壱ブックライター塾(#徹壱塾)も、おかげさまで第1期のセッションは来月の残り1回を残すのみ。今週から第2期の塾生を募集がスタートした。締め切りは12月15日で、第1回のセッションは来年の110日。ご興味がある方はぜひ、リンク先のnoteをご覧いただきたい。

 ここから本題。磐田での1次ラウンドは、全社枠3位で地域CL初出場となったジェイリースFCが、2勝1分けの勝ち点7で決勝ラウンド進出を果たした。当初の私の見立てでは、グループAの最強は、四国王者で全社2位のFC徳島、2番手は九州を制したヴェルスクロノス都農。ジェイリースは、せいぜい3番手と考えていた。

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