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ワールドカップ出場枠拡大は良い面も! 月イチ連載「大人になった」中坊コラム

【中坊(ちゅうぼう)プロフィール】
 1993~2023年のスタジアム観戦数は962試合。特定のクラブのサポーターではなく、関東圏内中心でのべつまくなしに見たい試合へ足を運んで観戦するスタイル。
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 2026FIFAワールドカップのアジア最終予選が始まり、日本代表はホームで中国に7−0、バーレーンにアウェイで5−0で勝利した。アジアの出場枠は「8.5」であり、最終予選のヒリヒリ感はすっかり過去のものとなってしまった印象は否めない。

 サッカーに限った話ではないが、この世は常に変化し、アップデートされていく。Jリーグしかり、海外サッカーしかり。ワールドカップしかり、制度変更には事欠かない。2年後に北中米で開催されるワールドカップでは、出場枠が48カ国に拡大されたのは周知のとおりだ。

 自分としては、2022年カタール大会までの32カ国がベストだと思っている。ただ、拡大のメリットも理解できるし、日本も過去に拡大の恩恵を受けてきた側だと理解しているので、一概に大反対とは言い難い。反対派が圧倒的多数の中、そのメリットについて考えていくと大きく2つあると思う。

 まず、今までワールドカップに出ることが叶わなかった弱小国が出場できる可能性が高まり、ひいては新たなサッカー人気の掘り起こしや強化に繋がるし、収入も増大すること。

 次に、サッカー大国がまさかの予選敗退という事態を防ぎ、ワールドカップの盛り上がり低下を避けられること。

 前者については、それまでの24カ国から32カ国に拡大した、1998年フランス大会を思い出してみよう。アジア枠が「2」から「3.5」に増えたことで、その恩恵を受けた日本は国内のサッカー人気拡大と劇的な強化につなげることができた。

 またFIFAにとっても、潤沢な資金力を持つ中東諸国や中国(今大会は厳しい?)が出場した場合、放映権収入やスポンサー収入も桁違いに増えることだろう。

 後者についても、過去の大会を思い出せばわかりやすい。2022年のカタール大会では、イタリア、チリ、コロンビアなどが予選敗退。2018年のロシア大会でも、イタリア、チリ、オランダ、アメリカの本大会出場は叶わなかった。出場枠が増えれば、こうしたアクシデントが起こる確率は軽減される。

 上記したメリットについて、さらに①マネー、②成長の機会、③救済策という3つのキーワードから深堀りしていきたい。

①マネー

「結局金かよ!」と思うかもしれない。けれども制度設計において、金は本当に大事であり根幹。金が積まれやすいスキームをいかに構築するかが鍵となる。

 FIFAに流れこむマネーによって、年代別代表大会の運営面での充実、女子サッカーの普及費増額、各国協会への賞金額増額などなど、さまざまなステークホルダーが幅広く潤うことになる。

 もちろん、FIFAが銭ゲバである点はまったく否定しないが、それでも良い面はいちおう存在している。ここまでの資金力がなければ、近年の女子サッカーの発展もなかっただろう。

 特にカタール、サウジアラビア、中国、アメリカ。経済的に豊かで、サッカーに大きな投資をしてくれている国々を確実にワールドカップへ出場させたい、FIFAの意向が強く感じられる。

 この4カ国については、確実に本大会に出場してもらいところだろうが、中国はもう20年以上出場できていないし、アメリカですら北中米カリブ海予選で敗退することが起きている。

 そのことで被るダメージを避けるためにも、出場枠を拡大することで、これら経済大国が本大会に顔を揃えるための制度改革が、FIFAにとっては望ましい。

 それに加えて、タイやインドネシアのようにサッカー熱が高く、人口の多い東南アジア勢も出場してくれたら、さらにチケットや放映権などの収入アップにつながるだろう。

 余談ながら日本については、今さら救済策を用意しなくても、見事な強化を成し遂げて、しっかり予選を突破してくれる。しかも高い放映権料をふっかけても、民放各局が逡巡する中でサイバーエージェントがしっかり支払ってくれた。FIFAからすれば、とてもありがたい最高の存在である。

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