宇都宮徹壱ウェブマガジン

鹿島アントラーズvs東京ヴェルディのPVを「読む」 Jリーグ元年のCSから30年後に感じる変化と不変

1993年、鹿島は挑戦者だった。ヴェルディは高い壁だった。(中略)あの日の屈辱は、今も変わらない。さあ、戦おう。帰ってきた宿敵(ライバル)に。今の鹿島のすべてを。叩き込む。刻め、新たな歴史を。

 こちらは今週日曜日に開催される、鹿島アントラーズvs東京ヴェルディ(J1リーグ第13節)のPV。鹿島を代表して登場しているのは、ヴェルディ育ちで鹿島で通算6シーズン目の安西幸輝である。

 ナレーションを読んでおわかりのように、ここでテーマとなっているのがJリーグ元年のチャンピオンシップ(CS)である。

 1stステージを制した鹿島、そして2ndステージの覇者であるヴェルディによるCSは、今から30年前の1994年1月9日と16日、いずれも国立競技場で開催。結果、トータルスコア3-1で勝利したヴェルディが、Jリーグの初代チャンピオンに輝いた。

 このPVに登場した安西は、1995年生まれの28歳。当然ながら、当時の記憶はない。この作品を手掛けたクリエイターたちもまた、TV中継を観ていた可能性は十分に考えられるが、せいぜい高校生か中学生くらいだろう。だとしたら、当時の空気をどれだけ体感していただろうか。

 仮に、あまり覚えていなかったとしても、そのことを否定するつもりは毛頭ない。いやむしろ、30年前の両者の対戦をリアルで知らない世代が、歴史をリスペクトするPVを作ってくれたのだとしたら、往時を知るひとりとして心からの拍手を送りたいくらいだ。

 くしくもこのGW、私は3日に鹿島、6日のヴェルディのホームゲームを取材している。その時に感じた両クラブの印象に、今回のPVを重ねながら、30年後にあらわになった変化と不変について考えてみたい。

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