宇都宮徹壱ウェブマガジン

「編集者が手強い」ということの有難さ 新著の原稿をめぐる水面下でのやりとり

 8月になった。この時期のサッカー界の話題といえば、女子ワールドカップで躍進中のなでしこジャパン、そして今週末から再開されるJ1であろう。そんな中、先月からずっと私は、執筆が大詰めとなった書籍に向き合っている。自分で言うのもはばかられるが、向き合い方が本当に半端ない。当然だろう、人生を懸けているのだから。

 もちろん、これまで手掛けてきた書籍も、すべて全力を懸けて世に送り出してきたつもりだ。けれども最新作は、これまでの作品とは明確に位置づけが異なる。本書は、これまでの26年におよぶブックライターのキャリアの集大成であり、自身にとっての新機軸であり、書き手としてのステージを上げられるかどうかの試金石でもある。これほど継続的に、ひとつの目標に向かって集中してきたのは、おそらく2浪目の藝大受験以来だと思う。

 これまで構成も含め、13冊の書籍を上梓してきた。今回は、初めて仕事をする版元であり、しかも大手。いわゆる大手との仕事は、初めてというわけではないが、これまでと何が違うかといえば、いい意味で「編集者が手強い」ことだ。編集者が手強いと、どういうことが起こるのか? そして、書き手と作品に、どんな影響を及ぼすのか? ここから先は、会員限定で。

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