なぜMILKサッカーアカデミーはサッカーファンから愛されるのか? ノーミルク佐藤(サッカーデータマン)&井上マー(芸人)<1/2>
今週は、サッカーファンから絶大な支持を集めているサッカー系YouTubeチャンネル、MILKサッカーアカデミー(ミルアカ)にフォーカスする。ご登場いただくのは、サッカーデータマンのノーミルク佐藤さん、そして芸人の井上マーさんである。
ミルアカのチャンネル登録者数は5万2700人。朝と夜に毎日2本ずつ、膨大なデータを駆使した密度の高い動画をアップしている。それだけでもすごいことなのに、データ分析から導き出される「サッカーの楽しみ方」が、すっと頭に入ってくる。そして視聴後は、何だかとっても得した気分になって、次回も2人の軽妙なトークが聞きたくなる。ミルアカとは、そんなチャンネルなのである。
多くのファンを持つミルアカだが、一方で謎も少なくない。なぜあれほど膨大なデータと集められるのか、なぜ毎日2回もレベルの高い動画をアップできるのか、なぜデータマンと芸人によるコンビなのか、なぜサッカーチャンネルの名前がMILKなのか、などなど。それらを解き明かすのが、今回のインタビュー。ミルアカのファンはもちろん、すべてのサッカーファンにお届けしたい内容となっている。(取材日:2021年10月21日@東京)
<1/2>目次
*「あくまでポジティブに」がミルアカのポリシー
*モニターは最大9台! Jリーグの全試合を視聴
*ポイントは「マーさんくらいの人がわかるように」
■「あくまでポジティブに」がミルアカのポリシー
──佐藤さん、マーさん、今日はよろしくお願いします。この間のヨコハマ・フットボール映画祭で久々にお目にかかった時に「ウチの息子がミルアカの大ファンなんです」という女性スタッフと、一緒に記念写真を撮ったじゃないですか。
佐藤 ありがたかったですね。
井上 お母さんが「これで息子に自慢できる!」って言っていましたね(笑)。
──そうそう(笑)。おふたりの人気は大人だけでなく、サッカー少年にも多大な影響を与えていることが、あらためて理解できました。そんなミルアカがスタートしたのは、2018年の10月10日。最初からこのコンビだったんですか?
井上 そうです。最初はiPhoneで録っていたんですよね。収録していたのが、僕の自宅近くのカラオケルーム(笑)。隣の部屋から、反町隆史の『ポイズン』が聞こえていました。
──なるほど(笑)。先日、J1とJ2とJ3、それぞれ残り6節の展望についてライブ配信をされていましたよね(参照)。何人くらいが視聴していたんでしょうか?
佐藤 あれはマックスで1000人くらいですかね。
井上 1000人なんていったら、お笑い業界でいったらフェスですよ! シアターDでキャパが100、ルミネtheよしもとで500ですから(笑)。僕らの業界で1000なんて数字、ありえないです!
──人数が多いだけでなく、コメント欄がものすごくアクティブでした。
佐藤 そうなんですよ。毎週月曜に「マンデーライブ」を続けているんですが、僕らの生の声をダイレクトで返していただけるのが、とても楽しいですし、ありがたいです。
井上 この間、仕事で盛岡に行ったんですけど、グルージャのスタジアムDJの大坂ともおさんが、ゴール裏に連れて行ってくれたんです。そうしたら皆さんから「ミルアカ、いつも聴いているよ!」とか、各クラブの台所事情についても「あれ、けっこう当たっているよね」とか言っていただいて。大げさでなく、家族のように受け入れてもらって、とてもうれしかったですね。それが盛岡だけでなく、他の地方でも起こっているんですよ。
──そうやって、ミルアカがサッカーファンから受け入れられる要因って、当事者はどう捉えているんでしょうか?
佐藤 僕らがやりたいとことって「今そこにあるサッカーって超面白いよね」というところを、データやエンタメという切り口から発信していくことなんです。そこでは、Jリーグや代表、あるいや海外やユースといったジャンルは、あまり関係ないと思うんですよ。
──カテゴリーについても、J1とJ2とJ3、分け隔てなく取り上げていますよね。
佐藤 J1とJ2とJ3とでは、もちろん取れるデータも微妙に変わってくるんですけれど、本質的なところは変わらないんですよ。そこをどうポジティブに楽しむか。ネガティブな情報であっても、あくまでポジティブに捉えて発信していくのが、ミルアカのポリシーです。
井上 いいこと言った(笑)! まあ先生もYouTuberですから、もちろん数字はほしいわけですけれど、だからといってネガティブなハレーションは絶対に狙わないんですよね。どんな情報でも深いサッカー愛で包み込んで、みんなでポジティブに楽しめる方向に持っていくというのが、われわれの間での鉄則となっています。
佐藤 要するに、誰かの悪口を言わない。クラブや選手が不利益となったり、ファンやサポータが傷ついたりするような情報は一切扱わない。そこは徹底するようにしています。
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