宇都宮徹壱ウェブマガジン

1年半ぶりの「今そこにあるサッカーを愛せ!!」 ロック総統のFC刈谷へのシンパシーと若干の懸念

 ACLでのガンバ大阪の劇的ドロー、そして田中碧のデュッセルドルフ期限付き移籍など、いろいろあった週末の日本サッカー界。そんな中、JFLでちょっとうれしい話題があった。おそらく、どのメディアも拾わないだろうから、当WMにてフォーカスすることにしたい。6月28日に名古屋市港サッカー場で開催された、FC刈谷vsホンダロックSCの試合で、あのロック総統が「乱入」したのである。

 JFLファンには周知のとおり、総統が対戦相手の応援席に「乱入」してアジ演説をぶつパフォーマンスは、このカテゴリーの風物詩と言ってよい。しかし、総統が最後に「乱入」を行ったのは、2019年11月24日に夢スタで行われたFC今治とのアウェー戦(昇格を決めた今治に「J3の鍵」を渡す儀式が行われた)。今回の「乱入」はその時以来、実に1年半ぶりのことであった。

 その後はコロナ禍の影響もあってか、総統は「乱入」どころかスタジアムでの目撃情報さえも途絶えてしまい、いささか気をもんでいた。そんな当人に私は、昨年の夏にインタビューしている(参照)。実はこの時、このまま総統がサッカーから離れてしまうのではないか、というかすかな危惧をいだいていた。それに対しては、肯定も否定もしなかったものの、いくつか気になる発言を総統は残している。

 ゲバ棒を振るという行為は、JFLというサッカーファンですら気に止めないリーグに、少しでも注目が集まるためのエッセンスとしては「あり」です。求められるなら、今後も続けていいかなとも思っていますよ。

 私の革命活動そのものが、なくなってしまうわけではない。けれども「今までのようなやり方ではない方がいいのかな?」とは思いますね。いろいろ模索している段階なんですけど、ぶっちゃけどうしましょうね? なんか知恵を貸してください ()

 その後、総統とは昨年11月21日に千葉のゼットエーオリプリスタジアムで行われた、地域CLの2日目に再会。FC刈谷の12年ぶりのJFL復帰を後方支援すべく「今そこにあるサッカーを愛せ!!」横断幕を手渡しに来たのだという(参照)。今回の「乱入」は、無事にJFL昇格を果たしたFC刈谷から、この時の横断幕を回収するという目的もあったようだ。最近のハーフウェイカテゴリーファンには、もしかしたら知られていないかもしれない、ロック総統とFC刈谷との知られざる関係性。今回、あらためて当人に語っていただいた。

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