宇都宮徹壱ウェブマガジン

YouTuberと考えるウィズ・コロナ時代の応援 コハロン×グラっ子ルビナ×千葉好男<1/2>

 Jリーグ再開のカウントダウンが進む中、再開後のスタジアムの「風景」が少しずつ明らかになってきた。最初は無観客で開催され、7月10日以降は段階的に入場者を認めることが、すでにアナウンスされている。そうした中、6月9日のメディアブリーフィングで村井満チェアマンが「応援バナーや横断幕の観客席への持ち込みを原則禁止」することを発表(参照)。すぐさま各クラブのサポーターがSNS上で反応していた。

 われわれサッカーファンが、最終的に目指す場所は「コロナ以前」の風景であるべきと、個人的には思っている。とはいえ、それには想像以上に長い年月がかかりそうだ。その間に、これまで当然と思われていたサポーターの行動様式のいくつかは、忘れ去られているかもしれない。ウィズ·コロナ時代における「新しい生活様式」は、サポーターにとっての聖域でもあるゴール裏にも、容赦なく降り掛かってくる。今のうちから、そうした現実への覚悟を決めておく必要があるだろう。

 今週は、5月16日に開催された#WMZOOM座談会「Jクラブ系YouTuberが生き残る道 コハロン×グラっ子ルビナ×千葉好男」の第2部の模様をお届けする。ご出演いただいたのは、FC東京応援YouTuberコハロンさん、名古屋グランパス応援YouTuberグラっ子ルビナさん、そしてジェフユナイテッド千葉応援YouTuber千葉好男さん。このお三方に集まっていただくのは、昨年10月のWMイベント以来となる(イベントの動画はこちら)。

 今回のコロナ禍で試合が行われない中、Jクラブ系YouTuberの皆さんが何を考えていたのか。そして再開後のJリーグについて、どのようなイメージを抱いているのか。それが、今回の座談会での主なテーマであった。座談会の第1部の模様は無料公開としたが(アーカイブはこちら)、第2部は「再開後の応援スタイルの変化」という、いささかデリケートな話題が中心となるためWM会員限定とした。今週は、その模様をテキストにてお送りする。

 あらためて読み返してみると、皆さんそれぞれがゴール裏へのこだわりがあるため、ウィズ·コロナ時代での応援スタイルへのイメージ作りに苦労している様子。それゆえMCである私が、いつも以上に言葉を費やすこととなった。その点をご理解いただいた上で、最後までお読みいただければ幸いである。最後に、お三方の動画チャンネルが、Jリーグ再開で再び盛り上がることを、心から祈念する次第だ。(2020年5月16日収録)

<目次>

*リスクがあるのであれば再開を急ぐ必要はない?

*ソーシャルディスタンスを保った応援は可能か

*どうしても声が出てしまう人にはフェイスガード?

*無観客試合での応援BGMはコアサポへの侮辱か

ZOOMを使えばゴール裏の一体感を再現できる?

Jリーグがなくても生きていくことはできるけど

リスクがあるのであれば再開を急ぐ必要はない?

──それでは第2部をスタートさせたいと思います。ここからはJリーグ再開に向けて、これからの時代の応援スタイルがどうなるのか、それを受けて皆さんのYouTuberとしての活動はどう変化していくのかについて、ご一緒に考えていきたいと思います。つい先日、39県の緊急事態宣言が解除されたわけですが、今日お集まりの皆さんのサポートクラブは、いずれも練習再開には至っていないわけですね?

ルビナ ウチは(愛知)県の独自の緊急事態宣言が今月いっぱいまでは続いていると思うので、練習再開はまだですね。

千葉 ウチもそうですね。

コハロン 東京も、もちろんそう。

──実は最近、Jリーグ再開についてのプロジェクトリーダーの方々にインタビューする機会がありました。その中でわかったこととしては、先行して始まったKリーグやブンデスリーガのやり方を参考にしながら。おそらくスタートは無観客試合になるということ。Jリーグはまだ正式にアナウンスしていませんが、おそらく今は無観客を前提とした再開プロトコルを作成していると思われます。

 もうひとつわかったことは、地域性の違いについて柔軟に対応しようとしている節が伺えること。たとえば首都圏と感染者ゼロの岩手県とは、状況がまるで違うわけです。ですから全国一律で無観客にしたり、一律で入場者を認めたりするのではなく、地域の状況に応じて対応を変えていくことも「選択肢としてあり得る」という話をされていました。それについて、試合再開を待ち望んでいる皆さんのご意見を伺いたいのですが。

千葉 僕も特別な情報を握っているわけではないですけど、おそらく7月くらいに再開されるんじゃないかという予想は持っています。先ほど緊急事態宣言解除の話がありましたけれど、首都圏の解除はおそらく最後になるでしょうから、もう一度キャンプするくらいでないと、選手のコンディションは戻らないと思うんですよね。ですから5月末に宣言解除となったとして、6月中の試合再開は難しいかもしれないですね。

──選手のコンディションについては、Jリーグ特任理事になった播戸竜二さんが選手側に立った提言をしているようです。決定から再開まで「最低でも4週間以上」というのは、選手の立場を代弁する彼の意見が反映されていると思われます。ただし、すでに練習を再開しているところと、まだ再開を待っているところがあって、どうしても不公平感は出てしましますよね。まあ、仕方がないところではありますが。

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